糖尿病と歯周病
インシュリンは生体内で唯一血糖を下げるホルモンで血液中のグルコースを生体内に送り込み細胞はグルコースをエネルギーとして使ったり,脂肪やグリコーゲンに変えてエネルギー源として貯蔵する。糖尿病患者は、このインシュリンが不足あるいは作用が不十分なため血液中のグルコースを細胞に取り込めず血糖値が持続的に高い状態に維持される。1型と2型があり前者はインシュリンを作り出す膵臓のランゲルハンス島内にあるβ細胞に自己免疫働いて破壊され絶対数が足らなくなるものである。後者はインシュリンの出る量が少なくなって起こるものと肝臓や筋肉などの細胞がインシュリン作用を感じなくなりグルコースをうまく取り込めなくなって起こります。症状はグルコースを細胞に取り込めないからエネルギー産出できない。そのため創傷を受けた場合細胞増殖できず殺傷治癒不全になる。血液循環不全により末梢が壊死に陥る。血管系に障害が起こり血管壁の破壊と治癒を繰り返すことにより動脈僻が瘢痕化、石灰化して硬化する。
網膜症、腎症、神経障害が三大合併症である。
糖尿病は高血糖が続くため白血球の低下により細菌感染にて歯周病を悪化させ、歯周病が糖尿病を悪化させる要因でもある。
重度の歯周病では炎症性サイトカインTNFーαがマクロファージから放出される。TNFーαは血中グルコースの細胞内取り込みを
阻害させる作用(GLUT4の発現抑制)がありインシュリンの活動抵抗性がある。又歯周病原性細菌が破壊され内毒素が血液中に入り込むと脂肪細胞や肝からTNFーαの産生を促進させる。肥満の人の内臓脂肪からTNF-αが多量に分泌されている。歯周病は口腔領域の病変でなく全身的な疾患を起こしやすくしている可能性が高い。糖尿病の合併症である虚血性心疾患や脳梗塞は歯周病がこれらを悪化あるいは起こしやすくしている可能性がある。
歯周病が口腔感染症で糖尿病は高血糖症もしくは糖毒症である。
2023年01月26日 04:19