4-①何故痛覚過敏反応は生じるのであろう?末梢性感作
冷たいものを飲んで歯が凍みたり、捻挫して足が腫れて歩くのも触るのも痛いという経験をお持ちでしょう。皮下の侵害受容器で電気エネルギーに変換された侵害情報が感覚神経を通って脊髄への入力が増えることにより痛みが増強します。歯や皮下で起こっている変化を「末梢性感作」と呼ぶ。熱、機械的、化学的な侵害刺激が受容器で電気エネルギーに変換され、受容器電位が発生します。皮下の感覚線維の先端にあるNAチャンネルは受容器電位より活動電位を発生してその侵害情報が脊髄に伝えられます。受容器電位の発生がなくなると痛みはなくなりますが侵害受容器が刺激に敏感になり受容器電位が持続して発生すると痛みが持続します。軸索で活動電位を発生させるNAチャンネルと現在わかっている熱侵害受容器TRPV1がどのように痛みを増強させているのかお話します。【遺伝性有痛症患者とNAチャネル】先天性無痛症の患者はNAチャンネルファミリーの一つNAⅴ1,7が後根神経節やその神経線維に発現していないことが原因でした。逆に遺伝性有痛症患者がいてこの遺伝的に痛みが生じる原因がNAv1,7の一つのアミノ酸が別のアミノ酸に変わっていることがわかりました。【NAチャンネルのタンパクの構造】NAチャンネルは薬2000個のアミノ酸からなる分子量27万の大きな細胞です。構造的によく似た4つの機能領域Ⅰ~Ⅳがあり4つのドメインが集まってその真ん中にNAイオンが通る穴があります。それぞれのドメインの4番目のセグメントにある正に帯電したアミノ酸残基は細胞膜の電位センサーの役割をしている。熱侵害受容器のカプサイシン受容体が熱刺激で活性化されて受容器電位が発生し、静止膜電位が性の方向に変化して膜電位がある閾値を超えるとNAチャネルの電位センサーが感知してNAイオンを通すゲートが開く様に制御されている。「指先の切開や歯の治療の場合」は処置する場所に局所麻酔を注入して神経線維状のNAチャンネルが活性化されないようにして一時的に痛みを感じないようにします。「無痛分娩」も硬膜外腔に局所麻酔薬を注入することにより無痛状態になる。【NAチャネルアミノ酸一つの変異で生じる遺伝性有痛症】遺伝性有痛症の患者は熱の刺激で両方の手足が焼けつくような痛みの発作で起こるが体性感覚の異常であると考えられました。たった一つのアミノ酸の変異がこの家系の熱刺激がひきがねとなって痛みが生じる病気の原因であることがわかりました。ロイシン⇒ヒスチジンに変わる。常染色体優性遺伝。NAチャネルイオンの通り道をふさぐのが局麻で漏れが起こると遺伝性有痛症の原因になる。【タンパクのリン酸化は生後に起こるアミノ酸の変異】NAチャネルの細胞の内側には1番目と2番目に水酸基を持つセリン残基が5つありタンパクリン酸化酵素を活性化させる薬剤よりNAチャネルは李い酸化されて電流が増加する。逆にセリン残基を持たないアミノ酸に置換した変異体は電流の増加がみられなくなりました。タンパクのリン酸化は生後に起こる可逆的なアミノ酸の変異ともいえる。【炎症に伴う痛覚過敏反応】熱の侵害受容器はカプサイシン受容体です。熱の刺激によって神経線維が活動電位を発生するのに十分なカプサイシン受容体TRPV1のイオンチャネルが開くと活動電位は軸索上を伝わって脊髄後角に温度情報を伝えます。その際に発熱や痛みに中心的な役割をするのがプロスタグランジン(PGE2)でありそれを抑制するのがアスピリンにて鎮痛作用を示します。【アスピリンの鎮痛作用PGR2合成の抑制】炎症部位で産生されたPGE2(局所ホルモン)はホルモン感受性リン酸化酵素を活性化してカプサイシン受容体やNAチャネルをリン酸化します。その結果末梢性感作が起こります。【カプサイシン受容体のリン酸化による活性化温度の低下】リン酸化される前は42℃で急にチャネルが開いて電流が流れますがカプサイシン受容体のセリン残基がリン酸化されますと30℃付近からチャネルが開く様になる。炎症部位で産生されたPGE2は受容体に結合してタンパク質リン酸化酵素の一つホルモン感受性酵素を活性化します。リン酸化酵素がカプサイシン受容体⇒リン酸化⇒活性化される温度を下げさらにNAチャネル⇒リン酸化⇒活動電位の発火数を増やすことによりPGE2は痛みをます感作物質として作用する。
2026年08月12日 10:31
