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広島県呉市広駅前 小早川歯科口腔外科クリニック

呉市広駅前 小早川歯科口腔外科クリニックでは、歯科口腔外科・小児歯科・審美歯科・インプラント・レーザー治療など幅広く対応します。

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周術期口腔機能管理の内容

【癌主治医からの口腔管理の依頼】癌患者の周術的口腔管理は癌治療の開始前に医科の主治医が歯科へ口腔管理の依頼をするところが開始になります。癌主治医からの依頼がなければ連携は始まりません。
【癌治療開始前の歯科チェック、前処置】癌治療の方針が決定すると、歯科医へ口腔管理の依頼がきます。癌治療の内容によって口腔に関連する合併症の内容、リスクは異なります。患者がどのような癌治療を受け、その治療にはどのような口腔合併症がありそのリスクはどの程度なのかということをしっかり把握しておかなければいけません。依頼を受けた歯科医師はがん患者の口腔内の状況を診察し予定される癌治療(手術、頭頚部放射線治療、化学療法)を踏まえて、治療によって引き起こされると予想される口腔内合併症や口腔内の変化を患者に説明し必要な歯科前処置や日常的な口腔内セルフケアに関する指導を行います。(周術期口腔機能管理計画策)
【口腔管理の継続】癌治療に合わせて、包括的な口腔管理を継続して行う必要があります。主病およびその治療により変化していく患者の口腔環境、口腔機能の状態を把握し、その変化に合わせて指導や処置を行います。(周術的機能管理)。「患者を治す治療ではなく、支える治療」が周術期口腔機能管理の目的です。
2025年11月07日 11:23

口腔がんと口腔に転移した腫瘍

【口腔とは】口腔は空洞器官で第一番目の消化器である。舌、口底、頬粘膜、下顎歯肉、上顎歯肉、硬口蓋、軟口蓋から成り立ち、顔面形態の裏打ちをし咀嚼、嚥下、構音の機能を持つ。以上のことから口腔の形態は機能と審美性に直結しています。
【口腔がんの疫学】口腔がんは口腔領域に発生する悪性腫瘍の総称です。扁平上皮がん、小唾液腺癌、肉腫、悪性リンパ腫、転移性癌などがあります。発生頻度は扁平上皮がんが最も多く90%です。男女比は3:2と男性が多いです。舌癌が最も多いです。
【口腔がん発がんの原因】飲酒、喫煙、食べ物などの化学刺激、齲歯や義歯のような補綴物による機械的刺激、パピロマウイルス
【口腔がんの特徴】口腔領域では一部の顎骨中心性癌を除いて直接みて触知できるのが特徴。進行の速度が速いことも特徴です。口腔の解剖学的複雑性から隣接組織や骨、筋肉といった深部の臓器に浸潤しやすいことも特徴。
【口腔がんの診断】①口腔がんは無痛性の潰瘍や腫瘤として確認される。視診による診断では粘膜の色調の変化(白斑や紅斑)潰瘍の症状(顆粒状、肉芽様、カリフラワー)などよく見極めることが大切である。NBIを用いた診断のように特定の2波長をあてることにより粘膜下の血管異性を診断し、超早期の癌が発見できるようになりました。最終診断として生検による病理組織学的診断になります。②口腔がんの診断がついた場合は癌の進展範囲、リンパ節転移、遠隔臓器転移、重複がんの精査のための初見査となります。
X線、造影CT、MRIを用いて行います。頸部リンパ節や遠隔転移、重複がんはFDG-PET検査が必要不可欠となります。重複がんは咽頭、食道、胃などは内視鏡検査が必須である。
【口腔がんの治療】切除可能例に対しては手術療法が中心となります。①原発巣切除・・・原発巣の切除方法は病巣の大きさ、浸潤状態、深達度隣接下浸潤臓器によって決定されます。舌癌では部分切除、半側切除、亜全摘、全摘。下顎歯肉癌では辺縁切除、区域切除上顎癌では部分切除、全摘、拡大切除に分類されます。②頸部郭清術・・・原発巣、リンパ節の転移の状態によって郭清範囲を決める。転移の状態によって副神経、内頸静脈、胸鎖乳突筋、顎二腹筋の温存、切除を行います。切除に含める組織においては副神経切断の場合は上肢の挙上障害、内頸静脈切断では顔面浮腫、胸鎖乳突筋切断では頸部絞扼感みられる。③再建手術・・・再建には有茎皮弁、遊離皮弁を行います。現在では遊離皮弁を使用することがほとんどです。軟組織の皮弁は前腕皮弁、腹直筋皮弁、広背筋皮弁、全外側大腿皮弁がある。適正な組織量による再建により良好な顔面形態、摂食、嚥下機能が回復される。下顎骨の切除後の再建は遊離腓骨皮弁、遊離肩甲骨皮弁、遊離腸骨皮弁を用います。骨接合は再建プレートを用います。
【放射線治療】扁平上皮がんの放射線感受性は高いと言われてますが放射線治療のみで根治することは困難で化学療法との併用療法や手術前後の補助療法として行われます。現在では腫瘍周囲の正常組織への放射量を控え、腫瘍への線量を増加させる高精度放射線治療であるIMRT(強度変調治療)が行われるようになった。難治性がンに対しては線源を変えた粒子線による治療効果が報告されホウ素を用いたBNCT(ホウ素中性子補足療法)による治療が開発されてます。
【化学療法】口腔がんに対しての化学療法のみの根治の可能性は低く一般的には再発癌や切除可能な再発癌に対してCDDP(シスプラチン)を併用した放射線療法が用いられている。局所進行がんに対して腫瘍栄養血管に超選択的に化学療法剤を動注し放射線と併用し機能温存や生存成績に良好な成績を収めている。又抗EGFR抗体であるセツキシマブも治療効果が認められている。
2025年11月07日 11:22

緩和医療・終末期における口腔ケア

終末期癌患者においては貧血、低栄養、癌性悪液質など様々な原因による全身状態の悪化と、オピオイド、ステロイドの投与や輸液の制限などの治療の影響で口腔乾燥、口内炎、義歯の不適合、口腔カンジタ症などの症状が出現することがあります。
【終末期癌患者における口腔の特徴と病態】①口腔乾燥・・・唾液量が低下し口腔乾燥が著明に乾燥します。特に死期が近づくにつれて顕著になり口渇感があり不快な症状となります。原因としては経口摂取量の低下、脱水、薬剤の副作用、呼吸状態の不良などがある。②口内炎・・・口腔乾燥や易感染状態、低栄養などによりアフタ性口内炎のみならずヘルペス性口内炎など生じるようになりまた義歯不適合による義歯性潰瘍も起こる。③口腔カンジタ症・・・口腔内常在の真菌、カンジタによる真菌症です。終末期癌患者においては全身状態の悪化やステロイドの使用、口腔乾燥等が口腔カンジタのリスクになります。多くは粘膜への白苔付着が認められる偽膜性口腔カンジタ症ですが口腔粘膜の発赤・萎縮・口内炎を生じる紅斑性、萎縮性カンジタ症、カンジタ性口内炎などがあります。口の中がザラザラ、ピリピリ、味覚変化、疼痛があったりなかったり様々です。④義歯不適合・・・顎堤の吸収により義歯不適合や不安定になるケースが多くみられる。
【終末期医療における口腔ケアの実際】①口腔乾燥の対応・・・脱水による口腔乾燥が疑われても輸液は体液貯留症状を悪化させることとなり実施しないのが現状です。口腔内においては水分を摂取し直接口腔粘膜や咽頭を湿潤させる。口腔用保湿剤を用いる。
③口腔炎・・・アフタ性口内炎であればステロイド剤を使うこととなるが保湿剤を用いることもあります。
④口腔カンジタ症・・・アムホテリシンB、ミコナゾール、イトラコナゾールなどが使われる。
⑤義歯不適合・・・余命と材料の劣化期間を考慮して粘膜調整剤を用いることが多い。
⑥抜歯・・・苦痛がなければ抜歯せず口腔ケアで対処します。かなりの動揺の場合はこの限りではない。
⑦摂食・嚥下障害・・・適切な摂食嚥下リハビリテーション(食物形態の工夫や摂食時の体位を考える)や歯科治療、口腔ケアが必要である。
 
2025年11月07日 11:21

薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)

【顎骨壊死を引き起こす可能性のある薬剤】①骨吸収阻害剤・・・注射剤であるビスホスホネート製剤は悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、多発性骨髄腫、固形癌の溶骨性骨転移の治療に用いられて経口BP製剤は骨粗しょう症あるいは骨密度の低下に対する治療薬として用いられている。癌治療におけるBP製剤の投与は注射剤であるが長期間のホルモン療法がおこなわれていある場合は経口のBP製剤が用いられています。抗RANKL抗体であるデノスマブは破骨細胞の機能を障害することで骨吸収を抑制します。多発性骨髄腫や固形癌の骨転移に4週間ごとに皮下注射を行いますが骨粗鬆症として用いられる場合は6か月に一度皮下注射します。②血管新生阻害薬・・・血管新生阻害薬は血管新生にかかわる様々なシグナル分子に結合することにより血管の新生を阻害します。スニチニブ®スーテント、ソラフェニブ®ネクサバール、ベバシズマブ®アバスチン
【顎骨壊死の診断】①顎骨壊死の診断所見・・・骨露出や顎骨の疼痛や排膿。下顎オトガイ部の知覚異常(Vincent症候群)抜歯や義歯不適合による歯肉潰瘍などにより粘膜欠損、骨露出により発生することが多いです。②診断基準・・・(1)現在、過去に骨吸収阻害薬による治療歴がある(2)顎骨への放射線照射歴がない。(3)口腔、顎、顔面領域に骨露出や骨壊死が8週間以上続いている。③発生頻度・・・BP製剤1,3%デノスマブ1,8%経口BPは0,01%~0,02%。④原因・・・骨リモデリングの変化、骨吸収抑制、微小骨片、ビタミンD欠乏、細菌感染、血管新生の抑制、血管閉塞、血流低下などあるが未だ解明されていない。
【顎骨壊死の治療】治療の原則は保存的アプローチとされています。抗菌薬投与、疼痛や知覚異常の緩和や感染制御、口腔内清掃の徹底と局所の洗浄など。抗菌薬はβラクタムが第一選択。クリンダマイシン、ニューキノロン系の投薬。顎骨壊死ではアモキシシリン、クリンダマイシン、レボフロキサシン。顎骨壊死発生時の休薬はがん患者の場合は骨転移による疼痛の緩和と病的骨折の予防であるためBP製剤の投与は続けます。経口BPの場合は中止。
【BP製剤、デノスマブ、血管新生阻害薬投与患者に対する口腔ケアの注意点】
①薬剤投与前・・・開始後の抜歯、歯科インプラント埋入、歯周外科、歯根端切除などの侵襲的歯科治療は顎骨壊死のリスクを高めるので少なくとも投与2~3週間前に終わらせることが必要となります。
②薬剤投与開始後・・・定期的に口腔内清掃を行います。歯科一般処置は薬剤投与中でも必要に応じて行います。
③口腔外科処置と休薬・・・注射用BP製剤投与の患者に口腔外科処置を行う場合は原則的にBP製剤の投薬は継続します。経口BP製剤は投与3年未満リスクファクター(-)の場合は休薬しない。投与3年以上あるいは投与3年未満かつリスクファクター(+)は休薬が望ましい。BPを休薬し口腔外科処置を行った場合の再開は2か月目が投与の再開になります。しかし早期に再開が望まれるなら抜歯窩がほぼ上皮で閉鎖され、感染の疑いがなければ2週間目で投与が可能とされています。

 
2025年11月07日 11:20

②放射線治療患者への口腔管理と歯科治療

頭頚部放射線治療患者に対する口腔管理・口腔ケアの目的は計画された放射線治療が無事完遂されることとQOLを著しく低下させる顎骨壊死のような晩期合併症を極力起こさないことです。①治療前・・・急性および晩期口腔合併症の緩和・予防②治療中・・・急性合併症の緩和・予防③治療後・・・晩期口腔合併症の緩和・予防及びQRLの向上です。
【治療前の歯科治療】①患者教育・・・口腔合併症の緩和・予防はセルフケアに依存する割合が大きく、成功のカギは患者教育ですので放射線治療における口腔合併症とそれらが起きる時期、合併症による弊害、合併症対策の具体的な方法について説明します。
②口腔コンディショニング・・・粘膜炎のリスク因子の除去、顎骨壊死のリスク因子となる歯や予後不良の抜歯、その他の口腔感染源の除去。奥に照射内の歯の抜歯は照射後禁忌になるので必ず行います。抜歯窩が上皮化する前に放射線治療を行うと幼若な肉芽組織が脱落し顎骨壊死を引き起こす可能性があるので抜歯窩がある程度上皮化するまでの期間を考慮し少なくとも2週間前に抜歯を終わらせることが推奨されている。口腔管理・口腔ケアは放射線治療3~4前に開始するのが理想です。放射線粘膜炎のリスク因子として金属修復物や矯正装置があります。特に矯正装置は除去しないといけません。金属修復物の場合はシーネを作って錯乱線を緩和させる必要がありシーネの厚さは3~5㎜の厚さで作製します。
【治療中の口腔管理・口腔ケア】急性口腔合併症の緩和・予防の時期です。主に放射線粘膜炎のコントロールです。セルフケアと専門的ケアがあります。前者は歯面清掃、粘膜清掃、洗口、保湿。後者は診察、PTC、粘膜、清掃。
【治療後の口腔管理・口腔ケア】晩期口腔合併症の緩和・予防及びQOLの向上の時期。
①歯科メインテナンス・・・フッ素塗布。放射線う蝕の好発部位は歯頚部や咬合面などから塗布が必要です。②う蝕治療・・・充填物や合着剤は二次う蝕予防のためグラスアイモノマー系か接着性セメント。③歯内療法・・・歯内療法による顎骨感染を避けるためにはリーマーや感染歯質等が根尖を超えないようにします。又FCや根充剤が過剰漏洩すると顎骨壊死を引き起こす可能性があります。水酸化カルシウム製剤を用います。③歯周治療・・・照射野の歯周外科治療は顎骨壊死を引き起こす可能性があるので基本治療にとどめる。歯肉縁下のスケーリングは超音波を用い洗浄はクロルヘキシジンを用いる。④補綴処置・・・義歯はリンガルバーよりレジンアップが理想。⑤抜歯・・・照射野の抜歯は上顎よリ下顎の方が顎骨誘発のリスクが高いです。65Gy以上の下顎の抜歯は禁忌です。(血流が下顎には少ない)また放射線後6か月以降の方が骨代謝の低下、脈管の閉塞により抜歯による顎骨壊死リスクは高くなります。又抜歯創の歯槽骨の鋭縁はトリミングして閉鎖創にします。又高気圧酸素法を併用すると顎骨壊死の発生率が低い。⑥顎骨壊死・・・万が一壊死が起きた場合は考えられる誘因を除去し洗浄や抗菌薬をm投与します。それでも治らない場合は高気圧酸素療法を併用して顎骨離断術を行います。
2025年11月06日 05:47

頭頚部がん放射線治療患者の口腔管理・口腔ケア①放射線治療による口腔合併症

【放射線粘膜炎】放射線による粘膜炎は最も苦しめる合併症です。頬粘膜、舌縁、軟口蓋に好発し疼痛だけでなく口腔・咽頭の機能障害を起こし、低栄養や誤嚥を引き起こす。照射開始7日ごろから出現し、二次感染等がはければ14日ほどで消失しますが併用化学療法の有無で重篤度が異なり休止や中断を招く高度なものは放射線だけでは35%、化学放射線で45%認められます。治療薬はサルコート、レパミド、スルファサラジンの内服など。金属修復物や矯正装置がある場合はこれらが照射野にある場合は放射線が金属に接すると錯乱し粘膜染料が増強します。その場合はシーネを作ったりして防御します。
【唾液分泌障害と味覚障害】これらもほとんどの患者さんが訴える合併症である。唾液分泌障害は線量30~40㏉が回復の限界である。対応としては唾液分泌剤としてピロカルピン®サラジェンの処方。味覚障害は栄養状態や治療意欲を低下させるのでしっかり対応しなければなりません。異常の程度は放射線による味蕾の萎縮や唾液分泌低下や舌苔の付着も影響されるので保湿と舌磨きは必要です。ポラプレジンク®プロマックの必要性があります。
【放射線顎骨壊死】放射線顎骨壊死の発生率は約7%とひくいものの疼痛、機能障害、顔貌の変化を引き起こす。下顎臼歯部に好発し治療後6か月以内と3年以降に発生することが多い。その中でも抜歯後顎骨壊死の発生率が高く最大のリスク因子です。これは放射線による骨細胞の減少、血流減少、低酸素化が顎骨に生じ、顎骨の易感染化と創傷治癒不全が引き起こされるからである。組織変化は回復しません。それでも困難な場合は高気圧酸素療法と顎骨離断術が行われます。
2025年11月05日 08:32

③がん化学療法中の患者の口腔管理の考え方

【歯科処置を行なうにあたって】骨髄療法を伴う癌治療を繰り返し行う癌治療で腫瘍細胞数と正常白血球の推移は1クール打つごとに腫瘍細胞は減り続けるが白血球は減ると又増える。その最下点のことを(nadir)といいます。造血能が低下し白血球や血小板数が最低値となっている状態をさします。nadirから血液像が回復し、次の化学療法開始まであるいは白血球数や血小板数が低下するまでの間が積極的に歯科治療を行う期間となります。
【歯性病巣感染の除去を目的とした歯科治療が困難な場合】可能な限りX線による口腔内の評価は行っておくべきである。口腔内感染巣の関与を知るために重要な判断材料になります。nadirの時期の感染の急性化にあたっては白血球数が低下しているので炎症所見に乏しく視診上見落としやすい状況にあります。又顎骨壊死のリスクがある薬剤が使用されている場合もX線を撮影しておくと場所がわかります。
【易感染期の口腔管理】易感染期の対応は口腔衛生指導がメインとなり主に慢性の辺縁性の歯周炎や智歯周囲炎を有しながらも骨髄抑制を伴う化学療法を受けている患者であればその急性化の予防の目的ともに口腔粘膜障害の発症、あるいはそれによる感染対策の一環としても口腔衛生管理を行う必要性があります。

 
2025年10月31日 10:20

②口腔粘膜炎以外の口腔有害事象(癌化学療法患者の口腔管理・口腔ケア)

【歯性感染(発熱性好中球減少症との関連)】・・・白血球減少期には発熱性好中球減少症(FN)が高頻度に発生します。FNは500μL未満あるいは1000μL未満で500μL未満になる可能性ある状況下で1回の腋窩温が37,5°以上の発熱が生じ薬剤熱、腫瘍熱、膠原病、アレルギーなどの発熱の原因が除外できる場合とされている。FN発症には複数の感染症が疑われ歯性感染単独との関連を考察するのに困難なケースが多いのですが中等度~重度の歯周炎の治療を行いFNが減少したケースもたくさん見受けられます。白血病のみならず骨髄抑制で白血病減少を伴う抗がん剤あるいは放射線治療全般において、歯性感染巣はFNの原因となりえます。
【薬剤関連顎骨壊死】・・・悪性腫瘍時の高カルシウム血症、多発性骨髄腫による骨病変および固形癌骨転移による骨病変、乳癌の溶骨性骨転移等の治療においてビスホスホネート製剤(®オンクラスト®テイロック®ビスフォナール®ゾメタ)が用いられるケースがあります。この治療の副作用である顎骨壊死について注意が喚起されてます。又「多発性骨髄腫による骨病変および固形癌骨転移による骨病変」を適応とするデノスマブ®ランマークも副作用に注意が必要である。施行前に化学療法と併用する場合は歯性病巣の除去、口腔管理が重要になります。又治療切除不能な進行、再発の結腸・直腸がんに対してベバシズマブ®アバスチンが用いられるがこのような抗VEGF抗体は創傷治癒が遅れることから投与患者の手術において休薬期間が設けられている。
【味覚障害】癌化学療法を受ける多くの患者が味覚障害を訴えることが多い。しかし3~4週間経つと味覚が戻ることが多い。味覚障害の要因は抗がん剤の細胞毒性が味蕾の細胞や末梢神経に影響したり、味蕾が味を感知するには水分が必要ですが抗がん剤の副作用である口腔乾燥によりそれが妨げられたりすることで発症しているものと考えられている。
2025年10月29日 12:07

①がん化学療法による口腔粘膜炎

がん化学治療では副作用として口腔粘膜の広範かつ重篤な糜爛を引き起こすことがあります。口腔粘膜障害への国際的な臨床ガイドラインの一つにMASCCが作成したものがあります。これによると大量化学療法や造血幹細胞移植治療を受ける患者の口腔粘膜障害発生率は100%に至りその他の化学療法でも頻繁に起こる副作用とされています。口腔粘膜障害は骨髄抑制による白血球減少期と時期を同じくして発生し、感染の危険を高めます。骨髄抑制期に何らかの感染を併発した場合には多種多様の抗菌薬による治療が行われる結果、口腔内において常在菌が消失し日和見感染に関与する菌への菌交代現象が起こることがあります。口腔内にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌等の耐性菌が検出されることもあります。白血病や固形腫瘍に対する化学療法でも強い骨髄抑制や易感染状態を呈することがあります。原因は抗がん剤の直接的な細胞毒性によるものでありその過程においては細菌感染やサイトカインの過剰な放出による炎症の増幅機構もかかわっているものと考えられます。【口腔粘膜障害対策・粘膜保護】口腔用保湿剤やワセリンを使用して乾燥して傷つくなっている粘膜に歯などによる物理的な刺激で傷を作らせないような対策が必要です。一般的にはできた場合はステロイド剤が用いられますがカンジタが起こりやすく推奨されませんがmTOR障害薬エベロリムス®アフィニトールでは推奨されています。非常にシンプルですが口腔衛生状態を良好に保つことや粘膜保護を積極的に図ることが癌化学療法患者の口腔管理・口腔ケアとして有効です。




 
2025年10月28日 08:07

癌全身全身麻酔手術患者の口腔ケア・口腔管理

1⃣全身麻酔による合併症①全身麻酔後の周術期肺炎・・・全身麻酔による合併症で特筆すべきものは肺炎です。口腔内芽不衛生な状態で経口挿管を行った場合は口腔内の細菌が気管チューブによって気管内に押し込まれる可能性があります。さらに全身麻酔や人工呼吸管理中は筋弛緩薬によって咽」喉頭の運動機能、嚥下・咳嗽反射が消失します。気管チューブが介在するため、気道が常に開口状態となり長期の手術時間では気管チューブを伝わって口腔・咽頭の多くの細菌を含む分泌物や逆流した胃内容物が気管に侵入しやすい状態となります。術直後で麻酔薬の影響下にある患者が嘔吐すれば嘔吐物が気管から肺に入ってしまうことがあります(誤嚥性肺炎)。②手術内容による肺炎リスク・・・頭頚部がんの手術では術後の咽喉頭浮腫が落ち着き、嚥下機能が回復するまで気管切開を行い、気管カニューレを挿入します。一般的には術後数か月はカフ付きの気管カニューレを使用し徐々にスピーチカニューレ、カニューレ抜去というように徐々に移行していきます。食道がんの手術ま侵襲が大きく反回神経を損傷する可能性があり誤嚥性肺炎を起こしやすくなります(32,2%)。術前に口腔ケアを行っていれば6%に下がります。それ以外では高齢者で多くの基礎疾患を抱えた患者や侵襲の大きな長時間の手術を受けた場合、術後の様態によっては気管チューブを抜管せずICUで人工呼吸器を装着し全身管理を行うことがあります。人工呼吸器関連肺炎(VAP)についてもケアが必要となります。VAPは「気管挿管または気管切開ご48時間以降の人工呼吸管理中に新たに発生した肺炎」挿管後96時間以内の早期VAPとそれ以降の晩期VAPに分かれます。早期VAPは口腔、咽喉頭細菌叢が原因で晩期VAPha菌交代によるグラム陰性桿菌やMRSAなどが原因になると言われてます。
2⃣口腔内の合併症①歯牙損傷・・・癌の手術に限らずすべての全身麻酔中に歯牙損傷が生じる場合があります。特に上顎前歯は損傷のリスクが高く歯周病で動揺がみられる場合は特に注意が必要である。喉頭がんの手術などで顕微鏡下喉頭微細手術(ラリンゴマイクロサージャリー)の際にはシーネを作って固定し歯牙の損傷のリスクを防ぐ必要があります。
3⃣全身麻酔患者の口腔管理①口腔衛生状態の改善・・・誤嚥性肺炎は口腔内細菌を含む分泌物の誤嚥が原因なのでその菌数を減らすことで予防できます。②動揺歯の評価・・・口腔内のクリーニングとともに重要なのが動揺歯の評価であります。問題となる歯が数本で隣在歯の動揺が少ない場合はエナメルボンディングによる固定を行いシーネを装着します。
2025年10月25日 12:06

呉市広駅前|歯医者

小早川歯科口腔外科クリニック

〒737-0142
広島県呉市広駅前1-8-11

TEL:0823-72-3041

受付時間:月~土
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