④細胞内膜系
小胞体はエンドプラズミック・レテキュラム」という細胞小器官である。小胞体は細胞膜やミトコンドリアの内外膜、エンドソームなどと同様に脂質二重層からできている。ミトコンドリアやエンドソームの膜が丸く袋のような形状を作っているのに対して小胞体は扁平な袋のような構造をしている。それがさらにいくつも重なって細胞内に存在している。細胞核を覆うように存在し表面にリボソームを付着させているものが「粗面小胞体」でついていないものが「滑面小胞体」である。【細胞外に分泌されるタンパク質】細胞の外に分泌されるタンパク質として一番有名なのは免疫細胞であるリンパ球の一つ「B細胞」が作り出す防御タンパク「抗体(免疫グロブリン)」である。抗体は免疫応答に始まりヘルパーTからインターロイキンによる刺激を受け抗原提示細胞による抗原の提示を受けたB細胞が分化して抗体産生細胞となり放出される。又「コラーゲン」も繊維芽細胞内のリボソームで作られ細胞の外に分泌されるタンパク質である。抗体やコラーゲンのように細胞外に分泌されて働くタンパク質を合成するとき細胞内のリボソームはある小胞体の表面へと移動しそこに結合する必要性がある。【小胞体は何をやっているか?】リボソームは症補体の表面に結合しなければならないか?その理由は合成したタンパク質を小胞体の内部へと放出しそこで細胞の外へと分泌するための‘下ごしらえ,するためである。それはリボソームが合成した細胞外分泌タンパク質を適切に折りたたんだり修飾することです。(タンパク質の分子に踏査がくっついたり、硫黄(S)を分子内に持つアミノ酸のシステイン同士でジスルフィド結合(S-S結合)を形成するなどの化学的な修飾のことです)。抗体産生細胞の粗面小胞体は大量の抗体をリボソームで合成し小胞体を経由して細胞外へと分泌しているため粗面小胞体が発達している。小胞体ではまずこの合成されたてのポリペプチド鎖が長い鎖の状態からタンパク質としてきちんと役割を発揮できる形へと整えられる。その様子がポリペプチド鎖を折りたたんで見えることから「フォールディング(折りたたむこと)」と呼ぶ。小胞体でのタンパク質には「タグ」がつけられている。糖鎖である。これがアミノ酸(アスパラギン酸)に付加される。これはうまくフォールディングがなされているかの目印である。このタグはタンパク質のフォールディングがうまくなされているかの目印で小胞体はいわば「タンパク質の品質管理役」を担っている。うまく折りたためてないと「異常タンパク質応答」と呼ばれる反応を示す。【ゴルジ体とは何か?】小胞体の内部で細胞外分泌のため'下ごしらえ,がなされた後、脂質二重層からなる小胞体の一部がちぎれ、それ自身がタンパク質を乗せた「輸送小胞」となってタンパク質を次の細胞小管である「ゴルジ体」に運ぶ。役割は「配送センター」のyプなものである。ゴルジ体には小胞体方面から輸送小胞を受け入れる「受け入れ面(シス)」と細胞膜方面に分泌小胞を放出する「放出面(トランス)」がある。シス面からやってきたタンパク質は小胞体でなされたものよりさらに細かいタグ付け(糖鎖修飾)が行われ不良品かどうかその後のタンパク質の行く先を込めるのである。そして細かいタグ付けされたタンパク質はトランス面からちぎれて出てきた「分泌小胞」の中に封じられて細胞膜まで運ばれ分泌小胞が細胞膜まで運ばれ細胞膜に融合することによって外科医へ解き放たれるのである。下界に出るときはエンドサイトーシスとは逆の「エキソサイトーシス」という。最終的にゴルジ体で行き先が振り分けられるようなタンパク質を作る際にリボソームは小胞体に取り付くのだ。合成された当初「小胞体シグナル」と呼ばれるアミノ酸配列がN末端側に結合していてそのシグナルを「SRP」と呼ばれるタンパクが認識して小胞体の表面にリボソームごと誘導するのである。それで無数のリボソームが結合することとなり表面がザラザラした小胞体の表面いわゆる「粗面小胞体」と呼ばれる様になった。リボソームがつかない小胞体は「滑面小胞体」と呼ばれる。こちらは脂肪合成を重要な役割とする。滑面小胞体の中にコレステロールやステロイドホルモンを合成する酵素が埋められている。例えば肝細胞の滑面小胞体に血液中での脂質の運搬役を担う「リポ蛋白」の脂質を合成する酵素が多くみられる。又油外な不溶性物質などを水に溶かしたりして排出するための酵素や解毒に働く酵素も滑面小胞体に存在することが知られている。【細胞内膜系というもの】細胞核を覆う核膜、タンパク質の合成に関する小胞体、タンパク質分泌にかかわるゴルジ体、リソソーム(消化酵素を含む小胞)ペルオキシソーム(酸化酵素を含む小胞)など脂質二重層でできたたくさんの膜がある。【新型コロナウイルスの場合・・・細胞侵入術】新型コロナウイルスも小胞体を利用して増殖することがわかっている。従来のコロナウイルスは呼吸などを通して体内(気道)に入り粘膜の層を通り抜けることに成功するとSタンパク質を細胞表面のACE2という受容体に結合させエンドソームの中に包まれて細胞内部に侵入したのち細胞内にRNAゲノムを放出する。一方新型コロナウイルスはエンドソームに包まれることなく細胞に入り込む仕組みも報告されている。その場合はSがタンパクがACE2に結合するとその付近にある細胞のプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)がSタンパクの一部を切断しそれがひきがねとなって新型コロナウイルスのエンベロープと細胞膜が融合してそのままRNAゲノムが細胞質へと侵入する。【新型コロナウイルスは小胞体をどう利用するか?】新型コロナウイルスは細胞内に放出されたRNAゲノムから転写された遺伝子の一部からリボソームで翻訳されタンパク質が出来るとその蛋白質が小胞体の膜を変形させ新型コロナウイルスのRNAゲノムが複製するための「囲い」を作らせる。その囲いの中で新型コロナウイルスのRNAゲノムはさかんに複製される。複製されたRNAゲノムは何らかのメカニズムによって「囲い」の中から飛び出して細胞質に侵入し同じく細胞質のリボソームで合成されたヌクレオカプシドタンパク質に囲まれ安定する。
2026年09月09日 09:11
