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広島県呉市広駅前 小早川歯科口腔外科クリニック

呉市広駅前 小早川歯科口腔外科クリニックでは、歯科口腔外科・小児歯科・審美歯科・インプラント・レーザー治療など幅広く対応します。

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癌全身全身麻酔手術患者の口腔ケア・口腔管理

1⃣全身麻酔による合併症①全身麻酔後の周術期肺炎・・・全身麻酔による合併症で特筆すべきものは肺炎です。口腔内芽不衛生な状態で経口挿管を行った場合は口腔内の細菌が気管チューブによって気管内に押し込まれる可能性があります。さらに全身麻酔や人工呼吸管理中は筋弛緩薬によって咽」喉頭の運動機能、嚥下・咳嗽反射が消失します。気管チューブが介在するため、気道が常に開口状態となり長期の手術時間では気管チューブを伝わって口腔・咽頭の多くの細菌を含む分泌物や逆流した胃内容物が気管に侵入しやすい状態となります。術直後で麻酔薬の影響下にある患者が嘔吐すれば嘔吐物が気管から肺に入ってしまうことがあります(誤嚥性肺炎)。②手術内容による肺炎リスク・・・頭頚部がんの手術では術後の咽喉頭浮腫が落ち着き、嚥下機能が回復するまで気管切開を行い、気管カニューレを挿入します。一般的には術後数か月はカフ付きの気管カニューレを使用し徐々にスピーチカニューレ、カニューレ抜去というように徐々に移行していきます。食道がんの手術ま侵襲が大きく反回神経を損傷する可能性があり誤嚥性肺炎を起こしやすくなります(32,2%)。術前に口腔ケアを行っていれば6%に下がります。それ以外では高齢者で多くの基礎疾患を抱えた患者や侵襲の大きな長時間の手術を受けた場合、術後の様態によっては気管チューブを抜管せずICUで人工呼吸器を装着し全身管理を行うことがあります。人工呼吸器関連肺炎(VAP)についてもケアが必要となります。VAPは「気管挿管または気管切開ご48時間以降の人工呼吸管理中に新たに発生した肺炎」挿管後96時間以内の早期VAPとそれ以降の晩期VAPに分かれます。早期VAPは口腔、咽喉頭細菌叢が原因で晩期VAPha菌交代によるグラム陰性桿菌やMRSAなどが原因になると言われてます。
2⃣口腔内の合併症①歯牙損傷・・・癌の手術に限らずすべての全身麻酔中に歯牙損傷が生じる場合があります。特に上顎前歯は損傷のリスクが高く歯周病で動揺がみられる場合は特に注意が必要である。喉頭がんの手術などで顕微鏡下喉頭微細手術(ラリンゴマイクロサージャリー)の際にはシーネを作って固定し歯牙の損傷のリスクを防ぐ必要があります。
3⃣全身麻酔患者の口腔管理①口腔衛生状態の改善・・・誤嚥性肺炎は口腔内細菌を含む分泌物の誤嚥が原因なのでその菌数を減らすことで予防できます。②動揺歯の評価・・・口腔内のクリーニングとともに重要なのが動揺歯の評価であります。問題となる歯が数本で隣在歯の動揺が少ない場合はエナメルボンディングによる固定を行いシーネを装着します。
2025年10月25日 12:06

癌治療における口腔ケア・口腔機能管理の必要性。口腔ケアのエビデンス

近年癌患者のの口腔ケアの重要性が認識されつつあります。口腔衛生管理に主眼をおいた口腔保健指導、口腔清掃、義歯清掃を中心とするケアであり、広義では狭義の口腔ケアに加え、口腔機能(咀嚼、構音、唾液分泌、摂食嚥下)の維持・回復に主眼をおいた予防、歯科治療、リハビリテーションのあらゆる段階を包括したケアです。【口腔ケアのエビデンス】誤嚥性肺炎の予防、発熱患者の予防、栄養状態の改善、摂食嚥下機能の改善、介護予防、感染予防、口臭予防。癌になる前に口腔内環境が癌の発生に関係している。歯磨きでがんリスク3割減。歯周病がある場合は癌に罹患する可能性が高い。特に発症リスクが高いのは肺癌、腎がん、膵がん、血液癌などがある。【手術療法における口腔ケアのエビデンス】ICUでの口腔ケアによってVAP発症を減少させることは広く知られている。食道がんでは口腔ケアによる術後肺炎予防効果がある。在院日数減少。【化学療法における口腔ケアのエビデンス】頭頚部癌、胃がん、大腸癌などの消化器系のレジメ、乳癌のレジメでは口腔粘膜炎の頻度が高い。(20~50%)。化学療法による白血球減少のため易感染となりヘルペスとかカンジタなどの感染もみられます。【頭頚部放射線治療における口腔ケアのエビデンス】放射線顎骨壊死(ORN)は抜歯が原因。開口障害、口内炎(5-FU,との併用で94%)、栄養不良、放射線齲歯、口腔乾燥(放射線治療後の91,8%)、味覚障害(放射線治療後の75,4%)(30㏉以上)
2025年10月24日 12:25

③がん治療で汎用される薬剤

1⃣トポイソメラーゼ阻害薬・・・・DNAトポイソメラーゼは細胞核にある酵素である。DNAのねじれを修正する酵素である。DNAはトポイソメラーゼで切断されたのちDNAとこの酵素は共用結合を起こします。そして切断されたDNAの立体構造が適切に修正されたのちDNAは再度結合します。トポイソメラーゼ阻害薬は上記のDNAの切断ー再結合反応を阻害させることにより、細胞分裂を停止させ、結果的にアポトーシスを起こして細胞死に至らせる。Ⅰ型(TOPO1)は二重らせんの一方を遮断しⅡ型(TOPO2)は両方とも切断します。前者はイリノテカンは大腸癌や肺癌など。後者はエトポシド、アントラサイクリン系のドキソルビシン®アドリアマイシンはDNAに結合(インターカレーション)、ダウノルビシン、エピルビシン、アムルビシンなどがある。【副作用】骨髄抑制
2⃣白金化合物・・・DNA鎖に結合⇒DNA転写、複写できず⇒癌細胞縮小。G-G、G-Aに結合。第一世代シスプラチンなど。第二世代カルボプラチン、第三世代オキサリプラチン、大腸癌。【副作用】(骨髄抑制。)カルボプラチンは血小板減少。(嘔吐、嘔気。)5-HT3受容体拮抗薬®ガスモチンNK1拮抗薬アプレピタント。D2受容体拮抗薬®プリンペラン®ナウゼリン(腎毒性)帆液による利尿。
3⃣代謝拮抗薬・・・抗がん剤のなかで主に細胞内の酵素に作用してDNA,RNAといった核酸の代謝経路を阻害する薬剤を代謝拮抗薬といいます。葉酸代謝拮抗薬、ピリミジン代謝拮抗薬、プリン代謝拮抗薬。
①葉酸代謝拮抗薬・・・・葉酸⇒ジヒドロ葉酸⇒テトラヒドロ葉酸⇒DNA合成®メトトレキサート、ホリナートCA(MTX副作用予防)ジヒドロ葉酸還元酵素阻害,ペメトレキセド
②プリン代謝拮抗薬・・・6-メルカトプリン(チオイノシン酸)アデニン、グアニンになれずDNA合成複写阻害。白血病の治療
③ピリミジン系代謝拮抗薬・・・5-FUはピリミジン代謝拮抗薬の代表的な薬剤。5-FUは体内で5-FdUMPに変換されこれがDNA合成に必要なチミジル酸合成酵素(TS)と結合することによりdUMP⇒チミジル酸⇒DNA合成阻害。
テガフール、カペシタビン®ゼローダ、TS-1(5-FU,ギメラシル、オテラシル)。【副作用】骨髄抑制、間質性肺炎、肝障害、腎障害
シチジン系・・・シタラビン⇒AraーCTPシタラビン3リン酸でDNAポリメラーゼ、ゲムシタビン⇒dFdーCTPジフルオロシチジン3リン酸でDNAに取り込まれDNA合成阻害。
4⃣微小管阻害薬・・・ビンカアルカロイド系ビンクリスチン。チュブリンの重合を阻害し微小管の崩壊。タキサン系パクリタキセル、ドタタキセル。チュブリンの脱重合を阻害して微小管の伸張に向かわせる。【副作用】神経障害
5⃣アルキル化剤・・・シクロホスファミド®エンドキサン。DNAと強固に結合して(グアニン、アデニン)架橋を形成しDNA
複製を妨げる。【副作用】骨髄抑制
6⃣抗腫瘍性抗菌薬・・・ドキソルビシン®アドリアマイシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD【副作用】間質性肺炎
7⃣分子標的薬・・・「癌細胞の特異的な標的分子に対する特異的な作用」
モノクローナル抗体と低分子化合物(標的分子は変異遺伝子か融合遺伝子産物であることが多い。)
(1)抗EGFR抗体・・・セツキシマブ、パニツムマブ    EGFR阻害薬(小分子)ゲフィチニブ(非小細胞肺癌)
(2)HER2抗体・・・トラスツマブ、ベルツズマブ     HER2阻害薬ラパチ二ブ、エルロチ二ブ
(3)抗VEGF抗体・・・ベバシズマブ 抗VEGFR2抗体・・・ラムシルマブ  VGEFR阻害薬アキシチニブ
(4)BDR-ABL阻害薬・・・チロキシナーゼ活性阻害薬・・・イマチニブ(慢性骨髄性白血病)ダサチニブ
(5)mTOR(エムトア)阻害薬・・・エベロリムス(セリン・スレオニンキナーゼ活性阻害)FKBPと結合。副作用】間質性肺炎
8⃣ホルモン療法・・・①ホルモンの放出を抑える②受容体ブロック③合成を抑える
①LH-RHアゴニスト・・・リュウプレリン、ゴセレリン
②受容体ブロック・・・抗エストロゲン・・・タモキシフェン 抗アンドロゲン薬フルタミド
③アロマターゼ阻害薬・・・アナストロゾール    CYP17阻害薬・・・コレステロール⇒アンドロゲンを阻害アビラテロン
 
2025年10月20日 13:56

②癌患者を診る前に看護で用いられる口腔アセスメント

口腔内の評価、予防的介入を効果的に行うことにより、多職種で問題点を共有し、口腔内の有害事象の早期発見と症状悪化の抑制に努め癌治療計画の中断を最小限に抑えます。多職種で治療期間中の口腔内の維持管理・変化を継続的に観察していくには、口腔ケアアセスメントツールがあると統一した指標になります。【全身評価】(癌治療方針)、(全身状態)、(既往歴)の確認を行う。治療方針は根治的治療と緩和的治療に分けられそれぞれの目標の設定地点が異なるため設定に適した介入が必要となります。全身状態は頭頚部のPSスケールは会食・食事内容・会話の明瞭度で評価します。既往歴では脳血管障害や糖尿病などは易感染性や止血困難など注意が必要である。臨床検査データーや服用薬を調べケアの妨げになる要因が存在しないか確認します。【口腔内評価】病態進行度アセスメント、放射線口腔アセスメント、緩和医療口腔アセスメントに分けられます。(口腔内衛生状態)口腔管理の不備により術後合併症・粘膜炎から感染リスクが上昇するためプラーク・歯石の付着やブラッシング回数、口臭の有無があるかを確認します。(歯の植立状態)口腔内に高度動揺歯、易脱離の補綴物がないか確認します。誤飲の可能性があるため除去または固定の必要性あり。歯肉に排膿がある場合は化学療法により歯性感染症のリスクが高まるため注意します。(粘膜の評価)口内炎は化学療法、放射線療法により多く出現するので注意する。(味覚)化学療法、放射線療法により味蕾の閾値の変化やダメージを受け味覚障害が出現します。(口腔乾燥)治療によって唾液線腺房細胞がダメージを受け唾液の分泌量が低下する場合があります。脱水や全身状態の悪化によって口腔乾燥があるかないか観察します。(開口量)治療後創部痛や組織線維化により開口量の減少が考えられる。(嚥下状態)意識レベルや残存している摂食嚥下の機能を十分に理解し、口腔ケアによる誤嚥の可能性を踏まえ安全な姿勢を保持できるかを評価します。

 
2025年10月18日 13:33

味覚障害と舌痛症

【味覚障害】の原因は①食べ物が口腔内で咀嚼されることにより味味覚が唾液と混じる。味物質が唾液に溶けて味蕾の深部まで運ばれる。③味蕾の味覚受容体からシナプスを経て、延髄の孤束核の神経細胞に伝わる。④孤束核から視床の神経細胞に伝わる。⑤視床から大脳皮質に伝わる。ほとんどの味覚障害はこれらの生理機構が十分に機能しないことが考えられる。咀嚼不足、唾液の分泌低下、味蕾の機能異常である。具体的には味細胞は寿命が短いためビタミンや亜鉛や鉄などの不足による味覚障害が生じやすい。唾液の分泌低下や抗ヒスタミン、抗てんかん薬、βブロッカー、CA拮抗薬、抗コリン薬、抗うつ薬、抗不安薬など薬剤性の口腔乾燥からも起こりやすい。さらに糖尿病性神経障害や中枢神経系の異常も味覚障害に関与している可能性があります。それに対して【舌痛症】hは「口腔内灼熱症候群(バーニングマウス症候群)」と同じ病態です。「口の中のヒリヒリとした痛みまたはピリピリした不快な異常感覚が1日に2時間以上で3か月以上にわたって連日繰り返し明らかな原因疾患を認めない病態」です。舌痛症の患者さんはしばしば不安やうつを伴っていてこのため睡眠障害を訴えることはありますが痛みで睡眠できないあるいは痛みで目が覚めるということはありません。心理社会的なストレスと密接な関係があることがわかっています。自覚される痛みの性質は持続性で焼けるような(ピリピリ)痛みであったり差すような痛みであったり(ちくちく、ずきずき)と表現される場合もあります。舌の先に多く、下側に多い。口腔乾燥を伴っており、これに伴って味覚障害を伴っている人も少なくありません。口呼吸や唾液の分泌を抑制する薬剤の服用やストレスとの関係があります。口の中が乾燥すると舌や歯肉の粘膜は炎症を起こして痛みを感じるようになります。このような炎症を起こした粘膜は刺激に敏感で辛味や塩味などの味刺激にも過敏になります。舌や歯肉の機械的な刺激にも過敏になって食事がとりにくくなります。男性女性比は1:10で特に閉経後の女性の有病率は12%~18%です。舌痛症患者は味を感じる味蕾が消失しており味蕾に至る細い神経線維が著しく少なくなっていることが示されました。このことも舌に分布する鼓索神経という感覚神経の機能異常を示唆するものです。このように口の中の神経の形態および機能に障害がみられることから「神経障害性疼痛」という神経自体の障害に基づく病変ではないかともいわれています。
2025年10月18日 09:19

癌患者を診る前に①臨床検査値

癌と歯科治療の関係を考えるにあたって、治療時期との関係、癌の治療状況、癌治療の副作用などを含めて問診によるリスク評価が重要です。癌と歯科治療における臨床検査は癌の病状に関する情報を収集し、癌診療と歯科治療がお互いに円満に進むために必要である。【癌診療で知っておきたい臨床検査】①白血球炎症の亢進↑抵抗力の低下↓4000~9000/UL②Hb・・貧血強い↓男13~17女12~15g/㎗③血小板・・止血異常12万~35万/UL④血液像・・・好中球減少すると抵抗力が弱い。好中球40~60%。⑤AST、ALT・・・↑は悪化。肝細胞の評価。AST8~40ALT4~33IU/L⑥ALP肝臓や胆道。骨の評価↑は悪化30~130IU/L⑦総ビリルビン・・・肝臓や胆道の障害を見る。↑悪化0,2~1,0mg/㎗⑧アルブミン・・・栄養状態の評価。↓悪化⑨BUN・・・腎機能の評価。↑は悪化。8~20mg/㎗⑩クレアチニン・・・腎機能の評価。↑は悪化。男0.7~1.3mg/㎗女0.6~1.0mg/㎗。⑪Na・・・下がりすぎると意識障害。137~147mEq/L⑫K・・・上がりすぎは注意。3.5~5.0⑬Ca・・・多くなると意識障害。4.2~5.2mEq/L⑭CRP炎症反応。↑は炎症の亢進0、3mg/㎗。
【癌化学療法】1骨髄抑制・・・白血球減少は易感染状態になるので抜歯や歯肉炎下の歯石除去、局所麻酔を要する治療は避ける。2肝機能障害3腎機能障害。シスプラチンなどプラチナ製剤や分子標的薬は腎機能に影響を及ぼします。癌による高CA血症などがあります。【腫瘍マーカー】腫瘍マーカーとは癌細胞が血中や尿中に産生する特異な物質を測定することで癌の有無、進展度、再発や転移の有無を測定する指標です。CEA・・・大腸癌、胃がん、すい臓がんCA-19-9・・・大腸癌、胃がん、すい臓がん、胆道癌AFP・・・肝細胞癌PSA・・・前立腺がんSCC抗原・・・子宮頸がん、肺がん、食道がん頭頚部癌などの扁平上皮癌。

 
2025年10月17日 12:22

⑬膀胱がん

膀胱癌は人口10万人当たり10人程度の発症率です。早期より血尿が出やすく悪性度の低い乳頭状癌と呼ばれるものが多いため比較的死亡率の低い癌です。尿路癌の中で(腎盂、尿管、膀胱)の中で膀胱がんが全体の約半数を占めます。【性差、年齢】60以降で4:1で男性が多い。【原因】喫煙、染料従事者【症状】早期より症状が出やすい。血尿、頻尿、排尿痛など膀胱炎症状が2大症状。80%無症状血尿。あとは膀胱炎症状。【診断】膀胱鏡検査。確定診断は膀胱粘膜生検。CTや胸部X線、腹部のエコー。【治療】①経尿道的膀胱腫瘍切除手術・・・表在的(粘膜、粘膜上皮)の膀胱がんが適応。②膀胱全摘手術・・・・筋層まで浸潤すると骨盤内リンパ節郭清と膀胱の摘出。前立腺、精嚢摘出。尿路再建(回腸導管造設術)、腸管を利用した新膀胱造設術。【放射線治療】浸潤性の膀胱癌【化学療法】転移のある進行した癌はM-VAC(メトトレキサート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチンなど)転移がない膀胱がんでも筋層以上は術後の再発や遠隔転移の予防に化学療法を用いることがあります。【膀胱内注入法】膀胱内に上皮内癌や多数の乳頭状癌のある場合はBCGや抗ガン剤を注入することがある。外来で週に一度の注入を数回行うことがあります。
2025年10月10日 13:59

緩和医療(ペインコントロール)

緩和ケアとは「生命を驚かす病に関連する直面している患者と家族の痛み、そのほかの身体的、心理社会的、スピリチュアルな問題を早期に同定し適切に評価し対応することを通して、苦痛(suffering)を予防し緩和することにより患者と家族の【Quality of life】を改善する取り組みである。①痛みの評価・・・(1)侵害受容性疼痛は内臓痛と体性痛がある。内臓痛は腹部腫瘍の痛みなど局在があいまいで鈍い痛み:ズーンと重い(オピオイドが効きやすい)体性痛は骨転移など局在がはっきりした明確な痛み。ズキとする。即効型鎮痛薬が必要となる。
(2)神経障害性疼痛・・・・神経叢浸潤、脊髄浸潤等、びりびり電気が走るような、しびれる、ジンジンするような痛み。難治性で鎮痛補助薬が必要となる。
痛みの経時的出現パターンは持続痛と突出痛、持続痛+突出痛の混合型。
②三段階除痛ラダー。第一段階。非オピオイド鎮痛薬。NSAIDsの定期投与。®サイトテック、®セレコックスかアセトアミノフェンか®ロキソニン。第2段階(第一段階の除痛が困難な場合)。麻薬性鎮痛剤を使う。コデイン、ペチジン、トラマドール®トラマール第3段階。強オピオイド。モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、非オピオイド鎮痛薬。(レスキュードース)血中濃度を維持するための徐放性製剤とともに体動時や神経障害性疼痛による突発痛に対する速放製剤をレスキュードース処方といいます。経口で一日の6分の1、持続点滴で1の24をレスキュードースとする。®ソセゴン®ペンタジンなどの拮抗性鎮痛剤は癌性疼痛に推奨されません。(オピオイドの種類)モルヒネ・・・経口(速放性製剤、徐放性製剤)静注、皮下注、座薬などがある。鎮咳、嘔吐、縮瞳、蠕動運動抑制するので便秘など起こりやすい。オキシコドン・・・経口と注射剤。腎障害による副作用少ない。フェンタニル・・・注射剤と貼付剤。
③骨転移の痛みや高CA血症による意識障害。ビスホスホネート製剤®ゾメタの適応がないかを検討する。この際抜歯などの口腔外科手術や歯周外科の際には顎骨壊死が起こりやすいので投与前には口腔と露出骨のチェックが必要です。万が一起こったなら抜歯窩を掻把し生食で洗浄し抗生剤を投入しヨードホルムガーゼを挿入し骨が露出しないように縫合しシーネを作りしばらくガーゼ交換します。痛みがなくなったら抜糸で終わり。
ステージⅣの場合の【癌共存療法】癌も含めた全ての生物は成長し存在を維持するためエネルギーと栄養を必要としている。そして限りなく分裂、増殖する癌はその代謝維持として大量の糖質を必要としている。①癌細胞の増殖を抑制する目的で癌が必要としている糖質を制限し糖質に代わるエネルギー源として高脂肪食とする。糖質制限下で高脂肪食は新たなエネルギー源となりかつ基本的に癌には利用されない抗がん効果のあるケトン体も産生する。「糖質制限ケトン食」。体力維持するためには総カロリーを減らさない。蛋白質もしっかりとる。②食後の上昇した血糖値を下げるインシュリンは癌細胞の増殖因子でもある。そこで食後血糖値の上昇を抑え結果としてインシュリンの分泌を抑え、癌細胞の増殖を抑えるためにメトホルミンを食前に服用。抗ガン作用のあるビタミンD(活性化)やEPAを併用する。「MDE糖質制限ケトン食」。③安全性を確認しながらがん抑制効果のある「クエン酸療法」④消化器系癌に適応のあるTS-1を低用量から開始する「小量抗がん剤治療」。⑤がん組織の酸性化や癌細胞内アルカリ化を抑制して癌細胞の増殖抑制を目的とした「アルカリ療法」。(標準治療との比較)【山崎章郎dr】
 
2025年09月29日 17:23

⑫口腔頭頚部癌

頭頚部癌は口腔癌(舌癌、歯肉癌)上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌、喉頭がん、副鼻腔癌(上顎癌、鼻腔癌)唾液腺癌、甲状腺癌に分かれます。口腔頭頚部癌は全悪性腫瘍のおおよそ5%を占めますが口腔癌、咽頭がんは増加傾向です。ちなみに2024年は8580人です。【原因】アルコールの多飲と喫煙ですが最近では中咽頭がんは約半数がHPVが関係していると言われてます。舌癌は歯などによる慢性機械的刺激が発生にかかわるとされている。【組織】扁平上皮がん【手術療法】局所進行頭頚部癌の手術では腫瘍切除後に組織欠損部を縫合閉鎖できないことが多く、他部位から患者自身の組織(皮弁)を移植して組織欠損の再建を行う必要があります。以前は前胸部など隣接部位から皮弁を有茎性に(栄養血管を切り離さず)採取して移植していましたが現在は腹直筋など離れた部位から皮弁を栄養血管とともに採取し皮弁と頸部の血管を吻合して移植する遊離皮弁が標準的である。頭頚部癌は非清潔術野の手術であり、術後に嚥下障害が起こるため創部感染や肺炎がしばしば問題となります。術後の口腔ケアは標準的な支持療法となります。【頭頚部癌の化学放射線療法(CRT)】頭頚部の癌は扁平上皮癌で放射線感受性が高い癌です。放射線療法にシスプラチンなどの白金製剤を同時併用により生存率が向上することがあきらかになっています。最近は抗EGFR抗体であるセツキシマブ併用CRTも行われます。頭頚部のCRTは口腔咽頭の粘膜炎、皮膚炎、味覚障害、口腔乾燥、嚥下障害などおこることが多く疼痛管理、栄養管理、口腔ケアが必要です。①口腔癌・・・放射線治療の有用性は低く手術が原則。局所進行例では腹直筋皮弁の遊離皮弁による再建が必要です。下顎歯肉癌や口腔底がんなどは下顎骨浸潤のため下顎骨の切除と遊離腓骨皮弁などを用いた骨性再建が必要となります。2021年から腫瘍に伴う広範囲顎骨欠損に対するインプラント治療が保険適応になり再建骨皮弁にインプラントを埋入して咬合再建を図ることができるようになった。上顎歯肉癌では硬口蓋切除が必要となることが多くその場合は口蓋欠損に顎義歯を作り咬合閉鎖が図られます。②上顎洞癌・・・・空洞である上顎洞を原発とするため早期には症状ありません。歯痛、鼻閉、鼻出血、複視、頬部腫脹などの症状があります。治療は手術が基本で多くは硬口蓋切除が行われ進行例では眼球摘出、頬部皮膚切除を要します。多くの場合は放射線療法を併用します。通常の頸静脈的投与によるCRTは完治難しく、顎動脈などの腫瘍栄養血管へのカテーテルを挿入してシスプラチンなどを投与する【超選択的動注化学療法】動注CRTが良い成績を収めている。
2025年09月29日 17:19

⑪悪性リンパ腫

悪性リンパ腫はリンパ球系悪性腫瘍でリンパ球が癌化し増殖して腫瘤を形成する疾患である。多くはリンパ組織(リンパ節、扁桃)に発生しますがリンパ節以外の組織からも発生する。【原因】染色体異常が腫瘍化に重要な役割を担っている。EBウイルスやピロリ菌、HTLV-1など特定の病原体との関連を認めるリンパ腫もあります。【分類】ホジキンリンパ腫とB細胞リンパ腫、T/NKリンパ腫【症状】初発症状として最も多いのがリンパ節の腫脹である。無痛性で弾性硬である。口腔内の扁桃や口蓋に腫瘤を形成することも稀ではありません。ホジキンリンパ腫では頸部リンパ節から隣接するリンパ節へ進展するが非ホジキンリンパ腫では頸部、腋窩、鼠径部などあらゆる部位に非連続的にリンパ節腫脹を生じます。肝臓や脾臓の腫大、皮膚病変が診られることもあります。鼻腔に発生する節外性NK/T細胞リンパ腫では口蓋に容易に進展し潰瘍や腐骨形成を認める。【治療】①ホジキンリンパ腫・・・放射線や化学療法に感受性が高い。限局期・・・・化学療法(ドキソビルシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)(ABVD療法)+病変部30~36㏉の放射線、進行期ABVD6~8コース。(予後)限局期約90%進行期70%。②非ホジキンリンパ腫・・・・濾胞性リンパ腫では限局期では領域放射線療法で進行期では症状がなければ経過観察。CHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)やCVP療法(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾロン)にリツキシマブ(抗CD抗体)R-CHOPやR-CVP。瀰漫性大細胞型B細胞性リンパ腫・・・限局症例ではR-CHOP3コース、放射線併用進行期R-CHOP8コース。【合併症と支持療法】免疫不全による日和見感染があるため予防を行います。肺炎予防と口腔カンジタ症に関しては抗真菌薬やST合剤。化学療法後の好中球減少に関してはG-CSFの投与を行います。
 
2025年09月29日 17:17

呉市広駅前|歯医者

小早川歯科口腔外科クリニック

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