嵌合力と傷害性
理想予防的な咬合は上の歯と下の歯が1対1の咬み合わせになれば咬頭嵌合位(かみ合わせた時)と中心位(楽に口を閉じたとき)が一致しその間にズレが生じない。いわゆるポイント・セントリックの状態である。こうなると①歯は構造上長軸に対しての過重は最も強く抵抗するようにできている。理想的な咬合は咬合圧が長軸方向に集められているようになっているため歯の安定性、咀嚼効率が良い点である。②側方運動時(横に歯をずらした場合)に臼歯部は離れている。何故なら臼歯部における歯根膜は頬舌的に弱い構造になっているからである。従って歯根膜あるいは歯に傷害性が生じ虫歯や歯周病になりやすくなるからである。このことを専門的にカプス・フォッサという。しかし残念ながら成人の天然歯列においては稀にしかない。それに対して95%は1対2のかみ合わせがほとんどである。(カプス・トウ・リッジ)この咬み合わせでは機能咬頭は咀嚼時にくさびのように働き対合する2本の歯を近遠心方向に分離するような作用を起こす。例えばマイクロクラックになりやすい。さらに親知らずは前に進む方向だから衝突しやすくなり歯肉炎をおこしたり虫歯になりやすい。この方式では中心位と咬頭嵌合位ではズレを生じやすい。ロング・セントリックである。【二態咬合】が起きやすい。
2025年03月13日 03:14