乳腺組織から発生する悪性腫瘍を乳癌といい80%は乳管から発生し乳管癌と呼ばれています。次に多いのが小葉癌で多くの乳癌細胞で女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)受容体が発現していてホルモン薬による治療効果が期待できる。【診断】癌細胞は原発巣からリンパ管と血管にのってリンパ節や他臓器に転移します。リンパ節では腋窩リンパ節、鎖骨上、下リンパ節に転移しやすいし臓器では骨、肝臓、肺、脳などがあります。疑われたはマンモグラフィー、乳腺超音波検査、確定診断としては穿刺吸引細胞診(FNAC)、乳房針生検、外科的生検がある。【病期分類】腫瘍の大きさや深達度(T因子)所属リンパ節転移の有無(N因子)遠隔転移の有無(M因子)で0期、Ⅰ期、Ⅱ期まで早期癌で外科的切除が必須で放射線や化学療法の併用。ⅢA,ⅢB,ⅢC期は局所進行乳腺は切除だけでは難しく術前の化学療法、術後の放射線療法を行います。Ⅳ期は根治不能な場合は延命と症状緩和を目的として全身の薬物投与を行います。【腫瘍マーカー】CA15-3の上昇が転移性乳癌患者の約80%みられる【手術】①乳房温存療法。腫瘍を含めた乳房の一部分を切除する方法。手術後に放射線療法を行います。②胸筋温存乳房切除術。乳房と腋窩リンパ節を切除します。この際に上腕の浮腫が生じるなどの問題があり「センチネルリンパ節生検」を行うことで腋窩郭清を省くことが出来るようになっています。【術後化学療法】腋窩リンパ節転移陽性例では化学療法の有用性が示されている。アントラサイクリン系(ドキソルビシン®アドリアマイシン、ダウノルビシン)微小管系(パクリタキセル、ドタタキセル)。【術後ホルモン療法】乳癌の薬60%がホルモン受容体が陽性であり閉経前はこれを抑制します。閉経後はアロマターゼによりアンドロゲンがエストロゲンに代わります。閉経前はLH-RHアゴニストとしてリュープロレリン®リュープリン、ゴセレリン閉経後選択的アロマターゼ阻害剤としてアナストロゾール、エキセメスタン抗エストロゲン剤としてタモキシフェン®ノルバデックス術後5年年間の投与。【術後トラスツズマブ療法】HER2が陽性率20%でトラスツズマブ®ハーセプチン【転移性乳癌の薬物療法】手術や放射線療法の局所療法は疼痛などの症状緩和のためホルモン療法と化学療法は症状緩和と延命のため行います。抗腫瘍性抗生物質を中心としたドキソビルシン+シクロホスファミド、ドタタキセル+シクロホスファミド、ドキソルビシン+シクロホスファミド+ドタタキセル分子標的薬としてトラスツズマブ®ハーセプチン、®カドサイザーHER2阻害剤ラパチニブ、ベバシズマブ®アバスチン(抜歯禁忌)【骨転移】疼痛、病的骨折や高CA血症をきたすため薬物療法や放射線療法やビスホスホネート製剤投与があります。ビスホスホネート製剤は疼痛コントロール、高CA血症や骨転移の骨関連合併症の予防として投与されます。
2025年09月20日 14:02