SLE(全身性エリトマトーデス)の最近の治療
SLEは患者の9割は女性で多くが20代~40代で発症します。日本では6~10万くらいの患者さんがいます。免疫系が全身のあらゆる組織の細胞や分子を攻撃して炎症を起こし治療しなければ死に至ります。特に関節、皮膚、腎臓、神経などが標的になることが多く、発熱、全身倦怠感などの全身症状の他に関節痛、皮疹、光線過敏症、脱毛、口内炎、腎炎、脳炎を生じる。特徴的なことは抗DNA抗体(DNAに対する抗体)が出来るということである。何故免疫系が細胞内のDNAを認識して活性化して抗体を産生するのかわかってません。体内にいる自己抗原を認識する抗原受容体を持つT細胞やB細胞がSLEの患者さんでは何らかの理由で活性化され、抗DNA抗体産生を含む自己に対する免疫反応を起こしていることは間違いありません。この自己反応性のT細胞やB細胞集団の特定や活性化の要因を解明することがSLE研究の重要なカギとなりえます。SLEの原因は不明のため、現在のところ根本治療はなく対症療法が基本となっつています。【治療】小~中等量のステロイド、ヒドロキシクロロキン(プラケニル)で腎炎や脳炎を合併した重症例では大量のステロイドや免疫抑制薬を用います。SLEの治療も関節リュウマチと同様進歩がみられておりByssというB細胞を活性化する分子やINFの分子の作用を阻害する薬が登場し有効性を示しています。SLE患者ではこれらの分子が過剰に産生されて炎症を増強する作用をもっているからです。
2025年05月11日 09:47