先天性心疾患、後天性心弁膜疾患者の口腔外科的処置
1心不全に対する処置。後天性心弁膜疾患で人工弁置換がなされている患者さんは処置に対する不安感が強く精神的に不安定な状態である。突然の疼痛刺激や長時間の処置は避ける。ファロー四徴症などチアノーゼを有する患者さんについては酸素投与下に処置をおこなうことも低酸素症の予防に有効である。前投薬としてはジアゼパムなどマイナートランキライザーを使用するのもよい。麻酔は普通エピネフリン含有の局麻剤でよい。万が一治療後に頻脈など心不全症状がでたならば中止し酸素投与し安静が必要である。2細菌性心内膜炎に対する処置。
先天性心疾患や心弁膜症疾患に起こる重大な合併症に細菌性心内膜炎がある。これらは10~50%は口腔内感染症や歯科処置による菌血症によるものである。従って二次感染予防は絶対に必要である。原因菌はαー溶血性連鎖球菌でペニシリン系かセフェム系抗生物質が選択される。
3抗凝固剤に対する処置。
先天性心疾患や後天性心弁膜症疾患の重大な合併症である塞栓症の予防治療として特に人工弁置換後のワーファリンなどの抗凝固剤がなされる。しかし抜歯に対しては注意が必要である。ワーファリンの効果は3日とされ抜歯される3日は投与を中止して抜歯していたが今はもし止血できなければ止血剤を投与して縫合してさらに出るようであればシーネを作れば十分である。
2024年07月20日 12:13