肝硬変患者の歯科口腔外科的処置
一般的注意事項として長時間の処置や急激な疼痛などのストレスが肝血流量を減少させ肝機能を低下させることがある。そのため処置前には安静と高たんぱく食の必要性あり。観血処置が必要ならば血清アルブミン値3mg/dl以上、血清ビリルビン値2mg/dl以下、プロトロンビン時間10~12秒、腹水は(-)の判定基準が参考となる。出血傾向がみられる場合は血液凝固因子ではビタミンkの吸収生成障害によりビタミンkの依存因子である第Ⅱ第Ⅸ第Ⅶ第Ⅹ因子が減少し線溶系も亢進するため出血傾向になるため創部の縫合すると容易に止血ができる。それでもできない(無力性出血)場合はレーザーや電気メスを用いる。さらにシーネを用いるとよい。止血剤はビタミンkの投与や抗プラスミン剤が補助的効果をもたらす。全身的に使用する止血剤はDIC併発の恐れがあるから控えた方がいい。局所的に使用する場合はスポンゼル、オキシゼルの創部補填、トロンビンなど血液凝固促進剤やエピネフリンやアドレナリン含有の局麻剤で血管を収縮させ出血を抑制させる方法がある。あとは食道静脈瘤については肝硬変患者は肝の線維化により肝臓に入る血液量が限られているため門脈内で血液が鬱滞し門脈圧亢進がおき食道静脈瘤がおきやすい。これは無症状な場合が多く無謀なデンタルミラー操作や印象採得により破裂する場合もあるから気を付けないといけない。起きた場合は出血性ショックがおきる。すぐ静脈確保してハイドロコーチゾン投与100~500mg血圧、脈拍、呼吸数などチェックして速やかに救急搬送する。投薬では酸性抗炎症薬アスピリン、インドメタシンは肝障害が起こりやすいとされ特にアスピリンは抗血小板薬なので慎重を要する。
2024年07月29日 15:24