胃腸疾患(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃切除後あるいは経過後、胆道疾患)の患者が来院したときの歯科口腔外科的処置
【胃潰瘍、十二指腸潰瘍】胃、十二指腸潰瘍は壁の一部が塩酸、ペプシンのの作用によって時価消化を受けて生ずる物質欠損である。成因は攻撃因子として胃酸とペプシンでこれらを含む胃液の分泌は迷走神経、胃ホルモンであるガストリンを介して行われ胃粘膜の壁細胞数によって左右されている。防御因子は粘液の分泌量、胃壁の血流量、さらに十二指腸内における中和も関与する。胃潰瘍は防御因子の減弱に対し十二指腸潰瘍は攻撃因子の増強が病因の主な役割。攻撃因子の制御として抗コリン薬、ヒスタミンH2受容体拮抗剤防御因子はプロスタグランジン製剤など。(歯科口腔外科処置)処置後抗生剤はペニシリン系セファロスポリン系で消炎鎮痛剤は塩基性消炎剤が望ましい。処置に当たってはストレスを与えない。【胃切後あるいは経過後】直後はダンピング症候群と食後低血糖経過後は栄養障害と貧血。ダンピング症候群は食後10~30分で悪心、嘔吐、めまい、頻脈、発汗、動悸などが起こる。糖分や水分の少ない食事を摂ることで予防できる。食後低血糖は糖分の多い食事を摂るグルコースのために高血糖になりインシュリンは増えるが血糖がすぐ下降するからインシュリンが過剰になり低血糖をきたすためである。また数年後に鉄欠乏、V12、葉酸の吸収障害により鉄欠乏性貧血、悪性貧血が起こる。(歯科的口腔外科処置)胃切除は口腔機能の改善に努め、食べ物は口の中で十分咀嚼し粉砕して消化管に送り込むようにする。また貧血症状になると口腔粘膜の萎縮がおきて抵抗力が落ち小さな刺激でも糜爛を呈し刺激により疼痛が現れる。
【胆道疾患】歯科的口腔外科で扱うのは胆石症である。症状は疼痛、黄疸、発熱である。疼痛発作は結石が胆道平滑筋の異物排除のための痙攣による発作的激痛である。
(歯科的口腔外科処置)発作が継続している時は侵襲を与えない、長時間の処置は控える。間歇期に入れば健康人と同様に取り扱ってよい。
2024年08月09日 02:52