ビスホスホネート製剤
(BPの構造)ビスホスホネートは生体内に存在するピロリン酸のP-O-P骨格の中心部分に存在する酸素を炭素に置換し生体内での代謝を受けにくいP-C-P構造に変えた低分子化合物である。このP-C-P構造は骨組織の基質物質の一つであるハイドロキシアパタイトに結合し、その部位に存在する骨組織内細胞(破骨細胞)に取り込まれる。このためBPは投与後長期に骨組織内に沈着し局所濃度が保たれることも知られている。中心部分に存在する炭素が4価のため側鎖が2個結合するがその側鎖に窒素を含むか否かによって二大別される。(BPの薬理作用)窒素含有BPは破骨細胞抑制というよりDNAの中で細胞増殖、シグナル伝達などに関与する細胞内機能蛋白であるsmallG蛋白質の機能抑制を有する。【乳がん骨転移】乳がんの骨転移は再発順序としてリンパ節の次にきて肺へ続く。骨転移が明らかになっての平均生存期間2年である。乳がんの骨転移形態は溶骨性変化で骨痛、病的骨折、脊髄圧迫による神経障害が加わる。(SRE)BPは化学療法と併用することでSREの時期を遅らせることが出来る。注射薬はゾレドロネートを用いる。しかし副作用である顎骨壊死(BRONJ)は注射薬に多く悪性腫瘍の場合0,88%~1,15%とされ特に投与中の抜歯施行率は6,67%~9,1%と高く避けがたいところである。口腔細菌が原因の場合が多い。【骨粗鬆症】骨強度の低下を特徴とし骨折のリスクが増大しやすくなる骨疾患。原因は閉経後の骨量減少でこれに加齢や運動不足、カルシウム不足などが加わる多因子性疾患である。
脊椎圧迫骨折37%大腿骨近位骨折20%である。窒素含有BP製剤アレンドロネート、リセドロネート、女性ホルモン、ラロキシフェン。
(口腔外科対応)診断1BP製剤を過去現在使用している2露骨した骨がみられる3顎骨への放射線療法がないもの
注射薬 投与前に保存不可能な歯は抜歯し歯周病もプラークコントロールしておく。6週間後開始。投与後は①口腔内観血処置は 控える。②歯内療法③仕方ない場合は延期する。抜歯後発生率2,1%から13,5%
経口薬 BRONJの発生率は抜歯後0,09%から0,34%で注射薬より少ない。BP製剤が3年未満では変更延期、休薬は不要。3年以上は口腔手術前3か月は休薬する。再開は6週間経過後。(最近では4日後)
【BP製剤投与中に緊急時侵襲的処置が必要な場合は①術前術後2か月間ウガイが必要である②予防的抗菌薬は治療の1
、2日前に投与。処置後に投与。縫合する。】
2024年12月07日 05:05