メカニカルストレス生体応答
歯周病で歯を支えている骨が溶けるのは細菌感染によって活性化した免疫系が骨代謝のバランスを崩してしまいそこに咬合性傷害(メカニカルストレス)が加わるとさらに骨吸収が進行します。他にも根尖性歯周炎、オッセオインテグレーション、インプラント周囲炎、骨隆起、矯正治療による歯の移動、ポンテック下の骨増殖など【骨代謝】、【免疫】、【細菌】、【メカニカルストレス】の4つの因子が複合的に絡み合うことで生じる生物学的な現象である。そこで歯周病の治療であるプラークコントロールともう一つのコントロールである咬合力のコントロールについて考察してみる。生物学的な現象(骨が増えたり減ったりする)と力による刺激がどういう関係で結びついているかというと物理的刺激である力が細胞の営みである骨の増幅を引き起こすには物理的信号が生化学的な信号に置き換えられ細胞生物的な現象を生じる。この仕組みを『メカノトランスダクション』と呼ばれ力学刺激を感受する【メカノセンサー】と下流にシグナルを伝える【メカノトランスデューサー】の存在すると考えられる。そこで顎骨骨膜には間葉系幹細胞が豊富に存在し「力」に応答して分裂増殖することがあるのは力によって細胞と細胞外基質と接着部位にFAK(接着性キナーゼ)というリン酸化酵素がありこれがメカノトランスデューサーの役目を果たすからである。例えば拮抗した咬合力や適度な矯正力、総義歯の顎堤の吸収など。しかし歯周病治療において障害性の咬合により過度の咬合が加わると骨代謝に影響をもたらし細菌感染により骨の吸収が起きる。
2025年03月29日 08:58