骨免疫学
骨は生体の支持や運動に必須の臓器であると同時に体液のカルシウム濃度調節や造血器官としての機能を持ち脊椎動物の生命運動において中心的な役割を果たしている。骨組織の恒常性は骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスが保たれていることで維持されている(リモデリング)免疫系の過剰な活性化は骨形成を阻害、骨吸収を促進することで骨恒常性を破綻させ、炎症性骨破壊を引き起こす。関節リュウマチや歯周病、癌の骨転移などさまざまな疾患において免疫が骨を破壊する現象が問題となる。免疫学的には「T細胞作るサイトカイン(RANKL、INFγ)バランスが破骨細胞形成を制御する」CD4陽性T細胞の破骨細胞分化においてTh1やTh2、Treg細胞は破骨細胞分化への影響は抑制しTh17だけがRANKLを介して破骨細胞分化を促進する能力を持っている。Th17細胞はIL17の産生を介してバリア部つまり関節の滑膜線維芽細胞上にRANKLを発現させ破骨細胞による関節破壊を促進する。一連の骨免疫学がリュウマチ性疾患の治療に大きく貢献してきた。炎症と破骨細胞分化を同時に抑制する生物学的製剤(抗TNF抗体、抗IL-6受容体抗体)があり骨粗鬆症や癌骨転移に伴う骨病変に使用される抗RANKL抗体(デノスマブ)が関節リュウマチ骨破壊に対しても適応された。Th17は本来ならIL17おを産生し局所のバリア部上皮細胞、繊維芽細胞、血管内皮細胞IL8、IL6、GM-CSF産生させ好中球性の炎症を推し進めるが何故Th17が骨誘導能をもっているかは口腔のバリアに特殊性があることがわかった。
2025年04月10日 04:54