悪性リンパ腫にCAR-T療法
血液癌は大きく分けて悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫の3つがあり計6万人とされている。治療は化学療法が基本であるが化学療法が効きにくくなったり癌が再発したりした場合はCAR-T細胞療法が選択肢となる。CAR-T細胞とはT細胞は白血球の一種であるリンパ球に分類され、体内の異物を認識して攻撃する免疫的システムの中心的な役割を担う。しかし癌細胞はもともと自分の細胞なので異物と認識されにくい。そこで癌に集まっているT細胞のTCR遺伝子をクローニングしてそれをフレッシュなT細胞に遺伝子導入して体内に入れる「TCR-T療法」が考案されたが確実にTCRを選ぶのが難しいとされている。そこでキメラ抗原受容体が考案されました。がん抗原を特異的に認識できる抗体(CD19モノクローナル抗体の抗原結合部)癌細胞を見つけるアンテナ)とT細胞のアクセルシグナルを発生する分子(CD28、4-1BBとCD3)(癌細胞の攻撃を行う)を遺伝操作より融合させている。CAR-T細胞療法の流れは患者の血液からT細胞を含むリンパ球を特殊な装置で分離する。CAR-T細胞の製造施設は国内になくリンパ球を海外に送って遺伝子を改変する。4~6週間後に自分専用の【細胞医薬品】として戻ってくる。点滴は30分程度。CAR-T細胞は体内で増殖する。日本では「キムリア」が認可されている。適応は「急性リンパ性白血病」と「瀰漫性大細胞型B細胞リンパ腫」が対象。さらに多発性骨髄腫に対する製剤も承認された。体への負担が骨髄移植より軽い。投与後は過剰な免疫反応による高熱や呼吸困難、意識障害などが起こる。CAR-T細胞療法はアクセル1とアクセル2の分子のアクセルを踏んで攻撃力を高める方法。一方Treg細胞は他の細胞が暴走して自分の攻撃を防ぐブレーキの役割を担う。Treg細胞を人工的に増やしたり減らしたりして免疫反応のバランスをコントロールすることでがんの治療に応用する研究がなされている。
2025年11月13日 12:11
