手術中に胸痛や胸部不快感を訴えたら
胸痛は様々な原因により生ずるが歯科治療の致死的偶発症のうち最も危険なものは急性心筋梗塞である。【原因】胸痛をきたす全身疾患のうち特に注意を要するのが虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)である。歯科治療に対する不安や恐怖、疼痛、局所麻酔薬のアドレナリンにより交感神経が優位になると内因性カテコールアミンの分泌亢進し末梢血管収縮し脈拍数、心収縮し血管上昇する⇒心臓の仕事量の増加⇒心筋の酸素需要量増加⇒心筋虚血となり⇒胸痛。又不安や恐怖により過換気が誘発され胸痛や胸部不快感が生じることがある。(過換気症候群)【症状】心筋虚血による胸痛は前胸部の圧迫感や締め付けられるような痛みと表現される。狭心症は数分であるのに対して心筋梗塞は30分いじょう痛みが持続する。さらに顔面蒼白、発汗、嘔吐、呼吸困難を伴うことが多い。【対処法】歯科治療中に胸痛や胸部不快感が生じたら直ちに歯科治療を中止し患者に声をかける。酸素吸入(4~6l/分)ニトロぐセリン舌下錠を投与。3分経過しても胸痛が続く様であれば心筋梗塞を疑う。直ちに救急車要請の必要性あり。鎮痛のためモルヒネ塩酸塩4mg鎮静のためジアゼパム5~15mg投与。過換気症候群の場合は薬物療法としてジアゼパム5~15mg投与する。又心臓神経症の場合はパニック障害が疑われる。対処としてジアゼパム5~15mg投与。薬物療法としてはベンゾジアゼピン系抗不安薬(アルプラゾラム、ジアゼパムやSSRIや三環系抗うつ剤が処方される。【鑑別診断】胸痛発作時は心電図は狭心症ではSTの低下(発作時)急性心筋梗塞ではSTの上昇を示す。心因性の胸痛は心尖部にチクチクするような鈍痛を訴えるが動悸、呼吸困難が主である。過換気症候群の場合ひゃ過呼吸、多呼吸や胸部不快感や四肢のしびれがみられる。
2025年11月13日 12:21
