①舌の生理と病態
舌の重要な機能には摂食、嚥下、構音等がある。さらに摂食と嚥下に知覚と味覚の機能も重要である。舌粘膜における知覚は舌前方3分の1が三叉神経であり残る後方は舌咽神経である。味覚は舌前方3分の1は顔面神経で後方は舌咽神経である。舌神経は口腔底を走行し舌に分布する前に味覚に関与する鼓索神経と一体となっている。【味覚の生理】①味覚器の構造…味覚は化学物質が味覚器、味蕾における味細胞の味覚受容体に受容されて生じる感覚であり臭覚とともに化学感覚とされている。味蕾は蕾状の役30~70個細胞の集合体である。この味蕾の細胞は上皮の基底細胞が分裂、増殖して分化した細長い紡錘形の細胞である。細胞先端は味覚受容体の存在する微絨毛となって直径数ミクロンの味孔へと延びる。味細胞先端の微絨毛にある味覚受容体は味孔において口腔の呈味物質の刺激を受ける。②味覚の受容機構・・・味覚は甘い、塩、酸、苦みプラス旨みの5種類とされている。塩と酸味は受容体はイオンチャンネル型の受容体で旨み苦み甘味はG蛋白受容体により受容される。③味覚の神経伝導路1)末梢神経・・・味覚に関する脳神経は顔面神経、舌咽神経、迷走神経である。顔面神経の鼓索神経と大錐体神経が味覚に関与している。これらの2神経は顔面神経障害(Bell麻痺、Ramsay Hunt症候群)や聴神経鞘腫などで生ずる。中耳炎や中耳外傷で鼓索神経障害の原因となる。舌咽神経障害の原因として球麻痺によるものや扁桃摘出術後の例がある。又開口器など手術器具による舌組織の過度の圧迫なども原因である。舌の過度の圧迫も味覚障害の原因となる。2)中枢神経・・・中枢性病変による味覚障害は脳梗塞や脳出血などの血管病変、腫瘍性病変、頭部外傷,多発性硬化症などによる。顔面神経や舌咽神経の味覚の一次ニューロンは延髄孤束核において二次ニューロンに連絡する。二次ニューロンは中心被蓋路を通り視床の後内腹側核に至り三次ニューロンへと連絡する。この間の中心被蓋部や橋に出血や梗塞が生じると同側に味覚障害を生ずる。【味覚障害の病態】①味乳頭・味蕾・味細胞に対する外的障害(原因)舌苔、舌炎、口腔内乾燥、火傷、外傷②味細胞の内的障害(原因)亜鉛欠乏(薬剤、突発性、全身疾患性)鉄欠乏、ビタミンAとB2欠乏③味覚伝導路障害(末梢神経障害、中枢神経障害)
2026年01月22日 18:08
