②ー1五つ感染防御機構
(1)5つの感染防御機構・・・身体には感染に対する様々な防御機構が備わっている。①バリア障壁②インターフェロン③自然免疫④獲得免疫⑤免疫記憶です。【病原体の病原体の侵入を阻止するバリア機構】・・・いわば水際対策で粘膜の上皮細胞や皮膚の角化細胞がシールされ病原体を侵入させないようにする。さらに痰や唾液、涙も病源体を洗い流す働きがあります。くしゃみや咳も肺に入りそうな病原体をたたき出すバリア障壁である。【インターフェロンがウイルスに負けない細胞を作る】・・・バリア障壁でいくら侵入を阻止してもウイルスが気道や肺の上皮細胞にくっつて細胞内に潜り込むことがあります。この時最初に働く防御の武器がインターフェロンです。インターフェロンはまだ感染していない細胞に対して細胞を「ウイルス抵抗状態にします。例えばコロナウイルスの場合は細胞に侵入するとウイルスのmRNAをもとにRNA転写され、ウイルスRNAの情報の基に蛋白質が出来ます。複製されたRNAとウイルス蛋白が次々組み立てられます。そうして増殖したウイルスは細胞外に放出され別の細胞に侵入していきます。ここでウイルス感染細胞から放出されたインターフェロンα、βによってRNAを分解する酵素やウイルスを構成するタンパク質の合成を抑制する因子を誘導します。このようなウイルス抵抗状態になった細胞に滑り込んでもウイルスは増えることはできず感染が拡大しません。さらに細胞がウイルスの侵入を感知してインターフェロンを作らせるウイルスセンサーとして働くRIG-1というタンパク質も重要です。一方で全身性エリトマトーデスのような自己免疫疾患ではインターフェロンが慢性的に作用し続けることで悪化するのでインターフェロンの作用を阻害するモノクロール抗体が治療に使われます。【NK細胞が感染細胞を見つけて速く殺す】初期の段階では感染してしまった細胞はNK細胞が担当します。目印はクラスⅠ分子というタンパク質です。クラスⅠ分子MHCは通常ほとんどの細胞で表面に発現します。NK細胞はクラスⅠ分子MHCが発現している細胞を攻撃しません(受容体が抑制的)。一方でウイルスが感染した細胞ではウイルスの構成蛋白をたくさん作っているためにMHCの産生が低下します。受容体を介したブレーキシステムが作動せずNK細胞はウイルスに感染した細胞を攻撃します。ウイルスが侵入したときに細胞ら発生するインターフェロンもNK細胞の活性化に一役買ってます。癌細胞もクラスⅠ分子MHCの発現が低下するので癌細胞を攻撃してきます。又2度目の感染やワクチンを接種したことでウイルスに対する抗体が存在すればNK細胞は抗体を介して感染細胞を認識して攻撃することもできます。「抗体依存性細胞障害反応」という。NK細胞にはFc受容体があり感染細胞表面のスパイクに結合した抗体を認識して感染細胞を攻撃するのです。【食細胞が食べて消化する】死んだ感染細胞や死にかけた細菌細胞を素早く食べて消化するのが好中球とマクロファージである(貪食作用)。NK細胞と同じくFc受容体がありウイルスに結合した抗体や感染細胞表面のスパイクなどウイルス蛋白質に結合した抗体を認識して食べることが出来る。【マクロファージが炎症を起こす】マクロファージには①貪食の他にウイルスのDNAやRNAを感知して炎症を起こす。②細菌は糖タンパクや脂質を感知して炎症を起こす。さらに③死んだ細胞から出る物質がマクロファージを活性化して炎症を起こす。死んだ細胞から出る物質をダメージ関連分子パターン(DANPs)といいます。マクロファージがウイルスや細菌を感知する病原体センサーはTLRと呼ばれるものです。これらが感知されると炎症性サイトカインが分泌され炎症細胞をどんどん感染部位に集めます。炎症が強くなると患部は赤く腫れて熱を持ちます。さらに炎症が強くなると体温が37度©を超えるような全身性の発熱が始まります。マクロファージが作る炎症性サイトカインが脳の視床下部に作用してP・GE2が作られ疼痛、発熱が起こりウイルスの増殖スピードが落ちます。発熱は体力を消耗します。マクロファージは炎症性サイトカインを盛んに分泌する(M1型)貪食によって異物を排除する(M2型)後者は炎症を抑え繊維芽細胞にコラーゲン産生を盛んにさせて組織を修復する働きがあります。【好中球が炎症をひろげてしまうことも】好中球は「食べて消化し、消毒すること」が専門です。好中球は炎症時にはマクロファージが分泌するサイトカインにより骨髄から動員されます。そして感染細胞や死んだ細胞を食べその後好中球は自壊して膿になります。(2~3日の命)。好中球は死ぬときDNA断片(好中球細胞外トラップ)(NETs)を放出し断片が短くなるとマクロファージを活性化し炎症拡大します。そうすると「サイトカインストーム」がおきて多臓器不全が起きます。コロナ感染症では重症化した患者ほど好中球が多いとの報告あり。ここまでが自然免疫です。
2026年02月27日 11:59
