Tregによる免疫医療
【骨髄移植】健康な人ではTregは過度な免疫反応を抑制することにより免疫自己寛容を維持している。Tregを用いて臓器移植における拒絶反応を防ぐにはTregに自己を攻撃する自己免疫細胞ではなく「非自己」である移植臓器に対する免疫反応を抑えるようにしないといけない。GVHDは移植片中に混入したドナー由来の末梢性T細胞によって引き起こされる合併症。レシピエントが移植を受けた後ドナー由来の一部のT細胞がリンパ腫にてレシピエントの樹状細胞が非自己として活性化される。これらの活性化T細胞が肝臓、消化管、皮膚などを攻撃する。(Ⅳ)。骨髄移植と同時にレシピエントないしドナーのTregを移入すると免疫を抑えられる。Tregを用いてGVHDを抑えつつ腫瘍細胞あるいは白血病細胞に対する移植片の免疫反応を維持する治療法が望ましい。生体外で増やしたTregを移入するのではなく、生体内でTregを増殖させる薬剤がIL2製剤である。移植後に低用量のIL2製剤を投与する臨床実験もはじまっていて良好な結果が出ている。【自己免疫疾患】「活性化T細胞を出来る限り除去しつつ抗原特異的なTregを強化して移入できれば自己免疫疾患の新しい治療法が確立できる可能性がある。【免疫反応を抑えるだけの治療薬】①1世代の免疫抑制薬は増殖しているリンパ球を減少させる細胞障害性の薬剤。増殖しているリンパ球を減少させる。メトトレキサートやシクロホスファミドⓇエンドキサンなどがある。②2世代・・・リンパ球の活性化と増殖にかかわるリンパ球の細胞内伝達物質を阻害する薬。シクロスポリン、タクロリムス®プログラフ、ラパマイシン®シロリムス。これらはIL2の産生を特異的に抑制する作用がある。③3世代は生物製剤インフリキシマブ®レミケード、アダリムマブ®ヒュミラ、ゴリムマブ®シンポニー、トリシズマブ®アクテムラ、アパセプト、エタネルセプトなど。④Tregを増やすような薬を免疫抑制に使う。IL2そのものを免疫抑制剤として使うというもの。Tregの表面に発現するCD25分子はIL25分子はIL2受容体のα鎖であり外からIL2が供給されないと死滅するのでごくわずかなIL2を入れてやるとTregは増えようとする。ラパマイシンは生体外でTregを増殖させられることがわかっている。問題点は活性化したエフェクターT細胞を抑制する必要性あり予防より多くのTregを移入する必要性あり。人ではCD25陽性CD4陽性T細胞中にTregでないT細胞も含まれていてそれを移入すると自らの細胞に反応してしまうエフェクター細胞も大量に移入してしまう危険性がある。又Tregは自己免疫のみならず腫瘍免疫も抑制するため発がんのリスクが高まる。【Tregと感染症】新型コロナ感染症などは高齢者が悪化するのは加齢に伴って免疫を担うリンパ球の反応性が落ちる反面Tregが増加してくるので高齢者の免疫反応が抑え気味になる。その結果重症化した結果としてサイトカインストーム(急激な免疫の暴走)が起き致死的になることが知られている。慢性的な炎症反応であればTregはバランスの保つ方向に導いてくれる。しかし急性期ではTregが駆けつけてもタッチの差で暴走を抑えることが出来ずサイトカインストーマーが出来て暴走を抑えることが出来ない。抗IL6アクテムラかステロイドか?ワクチンの場合は抗体価を高めるためにはTregをは減らす。【Tregの腸での働き】腸内細菌は1000種類100兆個棲み着いている。腸内細菌の大半は「善玉菌」であり食物の消化を促すだけでなく「悪玉菌」をやっつけてくれるなくてはならないものであるが免疫系は寛容している。ピロリ菌は時としてTregにより攻撃力が弱まったため生き残ったとされている。Tregは胸腺で分化した胸腺由来のTreg(tTreg)と末梢組織においてナイーブT細胞から誘導された末梢由来Treg(pTreg)に大別される。粘膜固有層においてpTregが豊富に存在しており粘膜の抑制に重要な役割を果たしている。腸内細菌であるクロストリジウム属菌がTregの強力な誘導因子であることがわかった。樹状細胞からTGFβが産出され抑制により腸炎を誘発させない。【Tregでアレルギー発症を予防】現代においてアレルギー発生は極めて衛生的な環境では細菌やウイルスなどに反応するTh1の成熟が起こらず花粉ダニ埃などに反応するTh2が優位になる。こうした変化が増加につながっている。Th2を抑えるのもTregである。スギ花粉であれば花粉の時期に備えて少しずつ前からTregを増やす作用のある薬を飲み始めてふやしておくとスギ花粉にさらされると抗原特異的なTregが増えるようになり免疫系はスギ抗原を攻撃しなくなるのでは?
2026年04月09日 16:08
