④アレルゲン別にみるアレルギー
4-1【食物アレルギー】・・・食物アレルギーはとても早い時期に始まることが多い。生後数か月から2歳、3歳ごろまでが発症のピークと言えます。多いのは鶏卵です。クルミやカシュウーナッツが原因の子供も増えてます。アレルギーと診断されればその食べ物を一時的に食事から取り除く「除去食」で対応する。食物アレルギーは食べものの中に入っているタンパク質に体の免疫が敵と間違えて反応してしまうことで起こります。食物アレルギーには大きく分けてIgE抗体が関係するタイプと関係しないタイプがあります。前者は食べた後2時間程度でアレルギー症状が出る場合(即時型)や食べて運動するとアレルギー症状が出るタイプ(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)が含まれます。一方後者(IgE抗体が関与しないタイプ)はリンパ球などの免疫細胞がかかわっていてもっとゆっくり出ることが多い)消化管アレルギーなどが含まれる。食物アレルギーは体質と環境の影響を受けることが多い。「大人の食物アレルギー」子供は大人になるにつれて耐性を獲得し治ることがありますがこれまでアレルギーがなかった成人が突然なることがあります。代表例として甲殻類やアニサスアレルギー、コチニールアレルギーがある。甲殻類は目、鼻腔、皮膚などで起こるが口腔内でも症状が起きます。アニサスは寄生虫でこれに対するアレルギーである。コチニールはカイガラムシから抽出した天然由来の赤色色素であるが化粧品や加工食品に含まれている。「大人になってから発症する理由」背景にあるのが(免疫老化)と(環境暴露)である。加齢により免疫の調節機構が低下し、自然免疫と獲得免疫のバランスが崩れやすくなるとされてます。長期にわたって蓄積された化学物質、アレルゲン、ストレスが臨界点を超えた時、アレルギーが発症するともいわれてます。女性はホルモン変動の時期にアレルギーが起こりやすいとされてます。「経口免役療法と舌下免疫療法」前者は原因となる食べ物を医師の管理の元でごく少量から食べ続けていく治療法です。最初は少量ずつ食べ始め体をアレルゲンに少しずつ慣れさせてある程度の量を食べても症状が出ない(脱感作状態、持続的無反応)ようにしていくのが目標である。慣らす治療である。後者の舌下免疫療は原因となる食物のエキスを舌の下に数分間保持してから飲み込む方法です。副作用が少ないのが利点である。さらに効果的にプロバイオティクスを組み合わせる方法も報告されてます。乳酸菌とビフィズス菌を組み合わることです。最近は生物学的製剤と呼ばれている抗IgE抗体である「オマリズマブ」で症状を和らげる作用があるので併用されることで効果が期待される様になりました。4-2【口腔アレルギー症候群】・・・食べものを食べた後唇や口の中、喉や耳の奥などに痒みなどのアレルギー症状が出るタイプの食物アレルギーです。原因食物は桃、リンゴ、サクランボ、メロン、スイカ、キユーイなどの果物である。何故アレルギーを引き起こす食品を食べても口腔内など局所的な症状で治まるのでしょうか?理由はこれらのタンパク質は消化酵素や加熱加工で容易に壊されているので胃や腸で分解される頃にはアレルゲンとして認識されなくなるからである。
4-3【金属アレルギー】・・・正確には接触性皮膚炎と呼び外的な異物が原因となって皮膚に起こる炎症の一つで免疫細胞(T細胞)が異物を排除しようとする反応によってひきおこされ症状の持続にも免疫細胞が重要な働きをしていることが分かった。かぶれには2種類あり一つはアレルギーによる「アレルギー性接触皮膚炎」と外的な物質が皮膚に直接刺激を与える「刺激性接触皮膚炎」とがある。免疫反応として感作相ではアレルゲンを認識してその情報をランゲルハンス細胞や樹状細胞にアレルゲンを取り込ませる。抗原提示細胞の活性化、成熟、リンパ節の遊走します。リンパ節内でナイーヴT細胞に情報を教えます。(抗原提示)。同じアレルゲンが再び体内に侵入してきた際に素早く戦うことが出来る抗原特異的T細胞⇒ヘルパーTやキラーT細胞に分化します。惹起相では皮膚に再侵入した同じアレルゲンを出来るだけ素早く排除するために炎症反応が誘導されます。(炎症惹起)。これらを誘導型皮膚関連リンパ組織と命名された。「何度もかぶれるのはなぜか?」この抗原特異的T細胞は通常は血液を流れていて体内に異物が侵入したり癌細胞ががん細胞が発生したときに、皮膚やその他の組織に集まりこれらの敵を排除すると考えられていたが近年T細胞は末梢組織に長期にわたってとどまり外敵に対する最前線の防御を提供することがわかってきたのである。特徴からレジデントメモリーT細胞TRMと名付けられました。免疫記憶をT細胞にはいくつか種類がありますが成人の皮膚表面には200億個のメモリーT細胞がありそのうち80%がTRMとされてます。「現場にたまり、特定の敵に対してその場で防御を担う」によって名ずけられた呼び名である。TRMのうち15~20%は一度炎症が起こった場所に半年以上も留まり続けることが報告されています。そのため症状が治まったように見えても同じ場所で再び炎症が繰り返されるのです。これは毛嚢(毛穴)細胞由来のIL7とIl15というサイトカインによりTRMが局所で安定的に維持されることが明らかになりました。毛嚢はTRM細胞にとって生存に必要な因子を供給する「支えの場」として機能しており再び感染や炎症が起きた際に即座に反応出来る準備を整えているのである。「かぶれの原因はなにか?」1位は硫酸ニッケル2位金チオ硫酸ナトリウム3位漆オール4位パラフェニレジンアミン5位塩化コバルトであり金属アレルギーが占めています。
「金属アレルギーにいかにして対応するか?」ニッケルが接触性皮膚炎を引き起こす最大の原因とされていて医科歯科領域では手術などを受ける患者の金属アレルギーをしっかりと確認し対応することが重要である。又ニッケルはコーヒー、チョコレート、豆類、穀物などに含まれており全身に湿疹や痒みがが出ることがありコバルトは貝類(アサリやムール貝)で全身の皮膚炎を引き起こすことがあります。(全身性接触皮膚炎)「酸っぱいものを食べると手がかぶれる(食事と金属アレルギーの不思議な関係)」・・・食物自身が原因となる食物アレルギーと食物に含まれている金属が原因となって全身に症状を起こすアレルギー(全身性接触皮膚炎)は異なるもので対応も変わります。トマトジュース、レモンなどの酸っぱいものを摂取すると数時間後に手のひらに水疱が出来数日間持続することがある場合は皮膚アレルギーは陰性であるが金属のパッチテストを施行したところ『パラジウム』が陽性となり金属アレルギーが診断されたのです。『パラジウム』は㏗4程度以下の酸性環境でイオン化することが報告されました。歯科金属に含まれる『パラジウム』が口腔内の酸性環境でイオン化しイオン化した金属が血液を回って皮膚にまわって皮膚に吸収され遅れてアレルギー反応を引き起こした可能性が突き止められた。酸性食品を摂取した際に症状が悪化する場合には歯科金属のパッチテストを行う必要があります。金属アレルギーの可能性を考慮する必要があるからです。食品に含まれる金属が原因でアレルギー反応が引き起こされる場合も特定の金属が酸性環境でイオン化しアレルゲンとして働くことがあります。
4-4【薬物アレルギー】・・・薬によるアレルギーは免疫が過剰に反応してしまうことによって引き起こされる。即時型(Ⅰ型)か遅延型(Ⅳ型)です。アナフィラキシーでも特に気をつけないといけないのは『周術期アナフィラキシー』である。「手術室での危機的状況(周術期アナフィラキシー)」手術中では麻酔薬、筋弛緩薬、消毒薬、輸血製剤などの薬剤が短時間で使用されます。その中のどれかによってアナフィラキシーショックが起こることがあります。これが周術期アナフィラキシーと言います。血圧が下がるとかがわかるのみでどの薬が原因なのかわからないことが問題です。「診断が難しい」「治療は時間と勝負」「再発防止が難しい」の課題があります。しかし最も多いのが筋弛緩薬、術前抗菌薬(セファゾリン)などがあげられる。「重症薬疹」これらは遅延型アレルギーでステイ―ブンス・ジョンソン症候群(SJS)、薬剤性過敏症症候群、中毒性表皮壊死症(TEN)がある。体を守るはずの免疫細胞が薬に対して過剰に反応してしまうことです。T細胞が薬の成分を異物と誤認して過剰に反応し皮膚の細胞まで攻撃してしまうのです。もう一つは好中球です。SJSやTENでは皮膚に入り込んだT細胞がリポカリンー2という物質を出し好中球を活性化させNETsを放出させる。SJSではこのNETsが皮膚の細胞に対して有害に働き炎症や細胞死を引き起こす。こうして皮膚の細胞が次々死んでいくことで水疱が拡大していくことと考えられます。「固定薬疹」薬を飲んだ後なぜか毎回、同じ場所に赤い皮疹が現れる。皮疹の出る場所が固定されていることが特徴です。固定薬疹は薬剤の成分に反応し一度炎症が起きるとその部位の皮膚に免疫記憶を有する細胞であるTMR(レジデントメモリー9)が溜まり続けることがわかってきました。皮膚、特に毛嚢の角化細胞から出るIL15、IL7などのサイトカインがこのTMR(T細胞)を長時間皮膚に留まらせることが示唆された。「多形紅斑(EM)」手のひらや足の甲などに丸く赤い中央がへこんだ皮疹が現れることがあります。原因はヘルペスウイルスなどの感染症であるが抗菌薬、解熱鎮痛剤などが原因の場合もあるため服薬歴が重要となります。ウイルスまたは薬剤特異的なキラーT細胞が活性化されそこから出される細胞性傷害性メディエーターによって皮膚の角化細胞が傷害されていると考えられて免疫反応のの結果標的型紅斑が出来るのです。EMでは皮膚病変がINF-γ、IL7やIL15のサイトカインの発現が上昇しているのでT細胞の活性化や生存を調整する働きを持ち皮膚内での免疫の維持・増幅にかかわっている。
2026年09月26日 13:57
